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蒙求和歌

第14第9話(209) 陳重送金

校訂本文

陳重送金1)

後漢の陳重は汝南人なり。獄吏として、死罪に行はるべきをも免してけり。「限りなく嬉し」と思ひて、百金を送りて報ひけり。

陳重がいはく、「なんぢがあはれと見しゆゑばかりにて免しき。報ひを得むがためにはあらず」と言ひて、返してけり。罪人(つみびと)、陳重が家の、承塵の上に置きて、去りぬ。陳重、このことを知らず。

年を経て後に、屋(や)を毀(こぼ)ちけるときに、金を見出でてけり。主(ぬし)を尋ぬるに、「主、死にけり」と聞きて、ことの2)妻子のもとへ送りてけり。金を壁の中に差し挟みて帰りぬとも言へり。

  あはれてふ情けばかりを悟りても思ひ知れとは思はざりしを

翻刻

陳重送金  後漢ノ陳重ハ汝南人也獄吏トシテ死罪/ニヲコナハルヘキヲモユルシテケリカキリナク
ウレシトヲモヒテ百金ヲヲクリテムクヒケリ陳重カ云ク汝チカアハレ
トミシユエハカリニテユルシキムクヰヲエムカタメニハアラストイヒテ
カヘシテケリツミ人陳重カイヱノ承塵ノウヘニヲキテサリヌ
陳重コノコトヲシラストシヲヘテ後ニヤヲコホチケルトキニ金ヲ/d2-42l
ミイテテケリヌシヲタツヌルニヌシシニケリトキキテコトノ妻子ノ
モトヘヲクリテケリ金ヲカヘノナカニサシハサミテカヘリヌトモ云リ
    アハレテフナサケハカリヲサトリテモ
    ヲモヒシレトハヲモハサリシヲ/d2-43r
1)
通常「雷義送金」。なお、陳重と雷義は別人。
2)
「この」か。
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka14-09.txt · 最終更新: 2018/03/18 15:10 by Satoshi Nakagawa
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