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蒙求和歌

第1第20話(20) 薊訓歴家 暮春

校訂本文

薊訓歴家 暮春

後漢人也

薊訓1)は斉の国の人なり。心ある人、薊訓が道にかしこきことを知りて、おのおのゆかしく思ひて、「いかにもして、あひ見む」と言ふに、次の日、二十三家に、同じ時、来たれり。家ごとに2)、顔の色も、衣の色も変らず。身を分けけるなるべし。

後に驢3)に乗り、東を指して帰り去るに、貴人、名馬をもて追ふ。行くこと半日、おのおの疲れて帰る。

薊訓、昔、隣人の児を抱(いだ)きて、取りはづして落して、死にけり。母、叫び泣きて埋(うづ)みてけり。次の日、薊訓、行きて掘りけるに、母、まことと思はず、疑ひをなすといへども、子、親を知れり。変ることなかりければ、かぎりなく喜びき。

  宿ごとに同じ名残を慕ふかな春の別れの夕暮れの空

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薊訓歴家 暮春 後漢人也
薊訓ハ斉ノ国ノ人也心有人薊訓カミチニカシコキコトヲシ/d1-14l
リテ各々ユカシク思テイカニモシテ相ヒミムト云ニ次日廿三
家ニヲナシ時キタレリ家コト□カホノ色モ衣ノ色モカハラス
身ヲワケケルナルヘシ後ニ驢(チサキムマナリ)ニ乗東ヲサシテカヘリサル
ニ貴人名馬ヲモテヲウユクコト半日ヲノヲノツカレテ
返ル薊訓昔シ隣人ノ児ヲイタキテトリハツシテヲト
シテシニニケリ母サケヒナキテウツミテケリ次日薊訓
行テホリケルニ母マコトトヲモハスウタカヒヲナストイヘトモ
コヲヤヲシレリカハルコトナカリケレハカキリナクヨロコヒキ
  ヤトコトニヲナシナコリヲシタフカナ春ノワカレノユフクレノ空ラ/d1-15r
1)
薊子訓
2)
底本「に」虫損。書陵部本(桂宮本)により補う。
3)
底本「チサキムマナリ(小さき馬なり)」と傍注
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka01-20.txt · 最終更新: 2017/10/22 15:35 by Satoshi Nakagawa
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