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text:kohon:kohon008

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第8話 御荒の宣旨、歌の事

御荒宣旨哥事

御荒の宣旨、歌の事

校訂本文

翻刻

いまはむかしみあれの宣旨といふ人はいふにやさ
しくかたちもめてたかりけり皇太后宮の女房
也中納言定頼ふみをこせ給
  ひるはせみよるはほたるに身をなして
  なきくらしてはもえやあかさん
さやうにてかよひたまふほとに心すこしかはりたえ/b43 e21
まかちなり
  はるはると野中にみゆるわすれみつ
  たえまたえまをなけくころかな
中納言みめよりはしめなに事にもすくれてめて
たくおはするを心ある人はみしりてなけかし
あきの夕くれきりきりすいたくなきけるをなかき
思ひはなとなかめ給けるをわすれかたき事に
いひためりたえ給てのち賀茂にまいり給と
ききていま一度もみむとおもひて心にもあら
ぬかもまいりして/b44 e22
  よそにてもみるにこころはなくさまて
  たちこそまされかものかはなみ
とてもなみたのみいととこほれまさりておほ方う
つし心もなくそおほえけるせみのなくをききて
  こひしさをしのひもあえぬうつせみの
  うつし心もなく成にけり
をのつからなけきやはるるとて中納言にはおとれとも
無下ならぬ人にしたしき人心あはせてぬす
ませてけりそれをまたいたうなけきて
  みをすててこころはなきになりにしを/b45 e22
  いかてとまれる思ひなるらん
  よをかへてこころみれとも山のはに
  つきせぬものはこひにそ有ける
たた中納言をのみこひなけきていかにつみふかか
りけむとおもふにたうとくめてたき法師子を
もちて山におかれたりけるそつみすこしかるみ
にけむかしとはおほゆれ
  御堂のなかひめ君三条院の御ときのきさき
  皇太后宮と申たるか女房也山との宣旨
  とも申けりよにいみしき色このみは本院の/b46 e23
  侍従みあれの宣旨と申たる侍従ははる
  かむかしの平仲か世の人この御あれの
  宣旨はなかころの人されはむかしいまの人を
  ひとてにくして申たる也/b47 e23
text/kohon/kohon008.1399618977.txt.gz · 最終更新: 2014/05/09 16:02 by Satoshi Nakagawa