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今昔物語集

巻7第14話 震旦法花持者現脣舌語 第十四

今昔、震旦の斉の武成の代に、并州の東の看山の側に、人有て、地を掘るに、一の所を見るに、其の色、黄白也。人、此れを怪むで、善く尋ね見れば、其の形、人の上下の脣に似たり。其の中に舌有り。鮮にして、紅赤の色也。人、皆此れを見て、怪むで、帝王に此の由を奏す。帝王、此の事を広く尋ね問ひ給ふに、「此の事を知れり」と云ふ人無し。

其の時に、一人の沙門有て、奏して云く、「此れは、法花経を読誦せる人の、六根の壊れざる事を得たる脣舌也。法花経を読誦する事、千返に満たる、其の霊験を顕せる也」と。帝王、此の事を聞て、驚き貴び給ふ。

其の時に、法花経を受持せる人、皆此の事を聞て、脣舌の所に集まり来て、脣舌を囲繞して、経を誦す。纔に初めて音を発す時に、此の脣舌、一時に鳴り動ぬ。此れを見る人、毛竪(よだち)て、「希有也」と思ふ。

此の事を、亦、帝王に奏するに、詔して、石の箱を遣して、其の中に此の脣舌を納めて、室に移し置き給てけりとなむ、語り伝へたるとや。

text/k_konjaku/k_konjaku7-14.txt · 最終更新: 2016/12/11 17:03 by Satoshi Nakagawa
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