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今昔物語集

巻6第23話 震旦淄州女依薬師仏助得平産語 第廿三

今昔、震旦の淄州に一人の女有り。懐妊して後、十二月1)に産する事を得ずして、身体瘇(は)れて、痛み悩む事限無し。然れば、音を挙て泣叫ぶ。

其の時に邁公と云ふ僧、此の女の所に来て、女に教へて云く、「汝ぢ、此の苦を遁れむと思はば、正に薬師仏の御名を唱へ奉るべし」と。女、僧の教へに随て、心を至して、薬師仏の御名を唱ふ。

其の夜の夢に、仏、自から其の所に来り給て、此の苦を救ひ給ふと見る。夢覚めて後、弥よ信を発して薬師仏の御名を唱へ奉る事怠らず。唱ふるに随て、苦しび漸く息(やす)まりて、男子を産せり。

皆人、「希有也」と云ふ。此れ、偏に仏の御利益也。仏の御誓ひ違はねば、糸貴しとなむ、語り伝へたるとや。

1)
底本頭注「十二月一本十月ニ作ル」
text/k_konjaku/k_konjaku6-23.txt · 最終更新: 2016/10/26 01:31 by Satoshi Nakagawa
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