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今昔物語集

巻29第2話 多衰丸調伏丸二人盗人語 第二

今昔、世に二人の盗人有けり。多衰丸・調伏丸とぞ云ける。

多衰丸は、顕れて、人に知られたる盗人にて有けるに、常に蔵穿つ事をぞ役としてける。度々捕らへられて、獄に禁められにけり。

調伏丸は何(いか)也ける事にか有らむ。誰とも知られぬ盗人にてなむ有ける1)。多衰丸も似たり。

其の時になむ、多衰丸、怪び思ひける。調伏丸、名をば聞けども、遂に誰と云ふ事をも知られで止にけり。世にも、人、極く怪びけり。

此れを思ふに、調伏丸、極て賢き奴也かし。多衰丸と具して盗し行(ありき)けむに、誰とも知られで止にけり。極て有難き事也とぞ、世の人云ひけるとなむ語り伝へたるとや。

1)
底本頭注「有ケルノ下脱文アラン」
text/k_konjaku/k_konjaku29-2.txt · 最終更新: 2015/02/27 18:20 by Satoshi Nakagawa
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