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今昔物語集

巻28第25話 弾正弼源顕定出𨳯被咲語 第廿五

今昔、藤原の範国と云ふ人有けり。五位の蔵人にて有ける時、小野の宮の実資の右の大臣と申す人、陣の御座に着て、上卿として事定め給ひけるに、彼の範国は五位の職事にて、申文を給はらむが為に、陣の御座に向て、上卿の仰せを承(うけたまは)る間、弾正弼源の顕定と云ふ人、殿上人にて有けるが、南殿の東の妻にして𨳯1)を掻出ぬ。

上卿は奥の方に御すれば、否(え)見給はず。範国は陣の御座の南の上にて此れを見て、可咲きに堪へずして咲ぬ。上卿、範国が咲を見て、案内を知らずして、「何かで、汝は公の宣を仰せ下す時には、此く咲ふぞ」と、大きに咎められて、即ち此の由を奏し給ひければ、範国、事苦く成て、恐ぢ怖けり。

然れども、範国、「此く顕定の朝臣の𨳯2)を出したりつれば」とは否云出さでぞ止にける。顕定の朝臣は、「極て可咲」とぞ思ける。

然れば、「人、折節知らぬ、由無き戯れは為まじき事也」となむ、語り伝へたるとや。

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マラ。門構えに牛
text/k_konjaku/k_konjaku28-25.txt · 最終更新: 2015/02/17 03:33 by Satoshi Nakagawa
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