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今昔物語集

巻27第6話 東三条銅精成人形被掘出 第六

今昔、東三条殿に式部卿の宮と申しける人の住給ひける時に、南の山に、長三尺許なる五位の太りたるが、時々行(あるき)けるを、御子見給て、怪び給けるに、五位の行く事既に度々に成にければ、止事無き陰陽師を召して、其の祟を問はれければ、陰陽師、「此れは物の気也。但し、人の為に害を成すべき者には非ず」と、占ひ申ければ、「其の霊は何こに有ぞ。亦、何の精の者にて有ぞ」と問はれければ、陰陽師、「此れは銅の器の精也。辰巳の角に、土の中に有」と占ひ申したりければ、陰陽師の申すに随て、其の辰巳の方の地を破て、亦占はせけるに、占に当たる所の地を、二三尺許掘て求るに無し。

陰陽師、「尚掘るべき也。更に此(ここ)は離れじ」と占ひ申ければ、五六寸許掘る程に、五斗納(なは)許なる銅の提(ひさげ)を掘出たり。其の後よりなむ、此の五位、行く事絶にけり。

然れば、其の銅の提の人に成て行けるにこそは有らめ。糸惜しき事也。

此れを思ふに、「物の精は此く人に成て現ずる也けり」となむ、皆人知にけりとなむ語り伝へたるとや。

text/k_konjaku/k_konjaku27-6.txt · 最終更新: 2015/01/12 17:16 by Satoshi Nakagawa
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