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今昔物語集
今昔、奈良の京に下毛野寺と云ふ寺有り。其の寺の金堂の東の脇士に観音在ます。
聖武天皇の御代に、其の観音の御頭、其の故無くして、俄に頸より落給ひにけり。檀越、此れを見て、「即ち継ぎ奉らむ」と思ふ間に、一日一夜を経て、朝に見奉れば、其の頭、人も継ぎ奉らざるに、自然に本の如く継がれ給ひにけり。檀越、此れを見て、「此れは、誰が継ぎ奉たるぞ」と尋ぬるに、更に継ぎ奉れる人無し。
然れば、「奇異也」と思ふ間に、観音、光を放ち給ふ。檀越、驚て、此れ何の故と云ふ事を知らず。但し、智り有る人の云く、「『菩薩の御身は常住にして、滅する事無し』と云ふ事を、愚痴不信の輩に知らしめむが為に、其の故無くして頭落給て、人継ぎ奉らざるに本の如く成り給ふ也」と。
檀越、此れを聞て、悲び貴ぶ事限無し。亦、此れを見聞く人、皆貴びて、「奇異の事也」とて、語り伝へたるとや。