Recent changes RSS feed

今昔物語集

巻10第40話 利徳明徳興酒常行会語 第四十

今昔、震旦の□□代に、利徳・明徳と云ふ二人の上戸有けり。此の二の人、三日を過ぎず、常に相ひ互に行き会て、酒を呑むを以て業とす。

而る間、利徳、田蕩(たがへし)の為に家を出ぬ。明徳、利徳が出たるを知らずして、利徳が家に来れり。然而れども、家の主、無きに依て、家の内に酒坏(さかづき)を請て、家の池の橋の上に居て、池の水を汲て、酒坏を指て、水の呑むで返ぬ。

其の暮に、利徳、家に返たるに、妻有て、利徳に、明徳が来りつる事を語る。利徳、此れを聞て、明る朝に、池の橋の上にして、水を汲む事、昨日の如くして、誦して曰く、「御酒(みき)の欲(ほし)きには非ず。明徳が芬1)(かうば)しき也」とぞ云ひける。

昔は酒を呑むに依ても、此の如きぞ有けるとなむ、語り伝へたるとや。

1)
底本頭注「芬一本欲ニ作ル」
text/k_konjaku/k_konjaku10-40.txt · 最終更新: 2017/04/29 21:31 by Satoshi Nakagawa
CC Attribution-Share Alike 4.0 International
Recent changes RSS feed Driven by DokuWiki

yatanavi.org ©2004-2017 Satoshi Nakagawa