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今昔物語集

巻1第8話 釈迦為五人比丘説法語 第八

今昔、釈迦如来、波羅奈国に行給て、憍陳如等の五人の比丘の住所に至り給ふ。彼の五人、遥に如来の来り給を見て、相共に語て云く、「沙門瞿曇、苦行を退して、飲食を受むが為に、爰に来給へり。我等、煩はさずして、立て彼を迎へ奉るべし」と。

如来、既に来給ぬれば、五人、各座より起て、礼拝して迎へ奉る。其の時に、如来、五人に語て宣はく、「汝等、少き智(さとり)を以て、我が道を成じ成ぜざる事を軽め疑ふ事無かれ。其の故何(いかに)となれば、苦行を修すれば、心悩乱す。楽を受れば、心に楽着す。此の故に、我れ苦楽の二道を離れて、中道の行に随て、今菩提を成ずる事を得たり」と説き給て、如来、五人の為に、苦・集・滅・道の四諦を説給ふ。五人、此れを聞て、遠塵離苦して、法眼浄を得つ。

五人と云は、一をば憍陳如、二をば摩訶迦葉、三をば頞鞞、四をば跋提、五をば摩男拘利と云ふ。「何の故にか此の五人なる」と尋ぬれば、昔、迦葉仏の世に、同学の人九人有き。四人は利根にして、先に既に道を得たり。五人は鈍根にして、□□始命始て1)、覚を開く。「釈迦如来の出世成道の時に会はむ」と願ぜるが故也となむ、語り伝へたるとや。

1)
底本頭注「始テ一本終テニ作ル」
text/k_konjaku/k_konjaku1-8.txt · 最終更新: 2016/04/07 00:39 by Satoshi Nakagawa
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