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text:ise:sag_ise012

伊勢物語

第12段 昔男ありけり人の娘を盗みて武蔵野へ率て行くほどに・・・

校訂本文

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昔、男ありけり。人の娘を盗みて、武蔵野へ率(ゐ)て行くほどに、盗人(ぬすびと)なりければ、国の守(かみ)にからめられにけり。女をば草むらの中に置きて逃げにけり。

道来る人、「この野は盗人あなり」とて、火つけんとす。女わびて、

  武蔵野は今日はな焼きそ若草のつまもこもれりわれもこもれり

と詠みけるを聞きて、女をば取りて、ともに率ていにけり。

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挿絵

第12段

翻刻

昔おとこありけり人のむすめをぬすみて
むさし野へゐてゆくほとにぬす人なり
けれはくにのかみにからめられにけり
女をはくさむらの中にをきてにけ
にけりみちくる人この野はぬすひとあ
なりとて火つけんとすをんなわひて
  むさし野はけふはなやきそわかくさの/s23l

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/23?ln=ja

  つまもこもれりわれもこもれり
とよみけるをききて女をはとりてともに
ゐていにけり/s24r
【絵】/s24l

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/24?ln=ja

text/ise/sag_ise012.txt · 最終更新: 2023/12/02 12:45 by Satoshi Nakagawa