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text:ima:s_ima013

今物語

第13話 宇治の左の大臣の御前に銀を桐火桶に積ませられて・・・

校訂本文

宇治の左の大臣(おとど)1)の、御前に銀を桐火桶(きりびをけ)に積ませられて、頼政卿のいまだ若かりけるとき、召しありて、「桐火桶と我が名を隠し題にて、歌つかうまつりて、これを賜はれ」と仰せごとありければ、とりもあへず、

  宇治川の瀬々の白波落ちたぎり氷魚(ひを)今朝(けさ)いかに寄(よ)り増(ま)さるらん

と詠みたりけり。めでさせ給ひけるとなむ。

翻刻

宇治のひたりのおととの御前に銀をきりひをけに
つませられて頼政卿のいまたわかかりける時めし
ありてきりひおけとわか名をかくし題にて歌つかうまつり
てこれをたまはれとおほせ事ありけれはとりもあへす
  宇治河の瀬々の白波おちたきりひおけさいかによりまさるらん
とよみたりけりめてさせ給ひけるとなむ/s11r
1)
藤原頼長
text/ima/s_ima013.txt · 最終更新: 2014/12/18 21:06 by Satoshi Nakagawa