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text:ichigonhodan:ndl_ichigon135

一言芳談抄 巻之下

135 敬仏房奥州の方修行の時寄宿しける在家の四壁大堺みな破れて・・・

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敬仏房(きやうぶつばう)、奥州の方(かた)修行の時、寄宿しける在家の、四壁(しへき)・大堺(おほざかい)みな破れて住み荒らせる体(てい)なり。そのゆゑを問ふに、亭主答へて云はく、「名取郡(なとりごほり)に移り住むべきゆゑなり」云々。

敬仏房、これを聞きて落涙し、同行(どうぎやう)に示して云はく、「欣求(ごんぐ)の心あらば、自然(じねん)に穢土を執すべからず」。才覚に言はれけるなり。

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敬仏房(きやうぶつばう)。奥州(おうしう)のかた。修行(しゆぎやう)のとき。寄宿(きしゆく)しける
ざい家(け)の。四壁(しへき)大堺(さかい)みな。やぶれてすみあらせる
体(てい)なり。そのゆへをとふに。亭主こたへて云。名取(なとり)
郡(ごうり)にうつりすむべきゆへなり云々。敬仏房これ
をききて。落涙(らくるい)し同行(どうぎやう)に示云(しめしていはく)。欣求(こんく)の心あらは。自(じ)
然(ねん)に穢土(ゑど)を執(しゆ)すべからず。才覚(さいかく)にいはれけるなり/ndl2-20l

https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/2583391/1/20

text/ichigonhodan/ndl_ichigon135.txt · 最終更新: 2023/12/08 22:13 by Satoshi Nakagawa