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text:ichigonhodan:ndl_ichigon094

一言芳談抄 巻之下

94 顕性房の云はくわれは遁世の始めよりしてとく死なばや・・・

校訂本文

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顕性房(けんしやうばう)の云はく、「われは遁世の始めよりして、『とく死なばや』といふことを習ひしなり。さればこそ、三十余年が間習ひしゆゑに、今は片時(へんじ)も忘れず。とく死にたければ、少しも延びたるやうなれば、胸がつぶれて、わびしきなり。さればこそ、符籠(ふご)一つも、よくて持たむとすることをば制(せい)すれ。。生死(しやうじ)を厭(いと)ふことを、大事と思はざらんや」云々。

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顕性房云(けんしやうはうのいはく)。我(われ)は遁世(とんせい)の始(はじめ)よりして。とく死(しな)ばやと
云事(いふこと)を習(ならひ)しなり。さればこそ。三十餘年間(よねんがあひだ)。ならひし
故(ゆへ)に今(いま)は。片時(へんし)も忘(わす)れず。とく死(しに)たければ。すこしも
延(のひ)たる様(やう)なれば。むねがつぶれて。わひしき也。されば
こそ。符籠(ふこ)一も。よくてもたむとする事をは。制(せい)すれ
。生死(しやうじ)を厭事(いとふこと)を。大事(だいじ)とおもはざらんや云々/ndl2-13r

https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/2583391/1/13

text/ichigonhodan/ndl_ichigon094.txt · 最終更新: 2023/10/23 23:04 by Satoshi Nakagawa