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text:mumyosho:u_mumyosho001

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第1話 題心

校訂本文

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謌は題の心をよく心うへきなり俊頼の髄脳
といふ物にそしるして侍めるかならすまわして
よむへき文字中々まはしてはわろくきこ
ゆる文字ありかならすしもよみすへねと
もおのつからしらるる文字もありいはゆる
暁天落花雲間郭公海上名月これらのこと
ことは第二の文字かならすしもよますみなし
もの題をよむに具してきこゆる文字あり/e2r
これらはをしへならふへき事にあらすよく
心得つれはその題をみるにあらはなり又題の哥は
かならす心さしをふかくよむへしたとへはいは
ひにはかきりなくひさしき心をいひ恋には
わりなくあさからぬよしをよみもしは命に
かへて鼻をおしみいへちをわすれてもみちを
たつねんことくその物に心さしをふかくよむへ
きを古集の哥とものさしも見えぬは哥/e2l
さまのよろしきによりてその難をゆるせる也
もろもろの難ある哥此会尺によりてゑらひいるる
つねのこと也されとかれをは例とすへからすいかにも
哥合なとにをなしほとなるにとりては今すこ
し題をふかくおもへるをまさると定也たとへは
説法する人のその仏にむかひてよく讃嘆す
るかことしたたし題をはかならすもてなすへき
そとてふるくよまぬほとの事をは心すへし/e3r
たとへは郭公なとは山野をたつねありきてきく
心をよむ鶯ことくはまつ心をはよめともたつねて
きくよしはいとよます又鹿のねなとは聞に
物心ほそくあはれなるよしをはよめともまつ
よしをはいともいはすか様の事ことなる秀句
なとなくはかならすさるへし又桜をはたつねれと
柳をはたつねす初行なとをはまたす花をは命
にかへてをしむなといへとも紅葉をはさほとには/e3l
をしますこれらを心えぬは故実をしらぬやう
なれはよくよく左哥なとをもおもひときて
哥のほとにしたかひはからふへきことなり/e4r
text/mumyosho/u_mumyosho001.1409855538.txt.gz · 最終更新: 2014/09/05 03:32 by Satoshi Nakagawa