text:mogyuwaka:ndl_mogyuwaka13-20
蒙求和歌
第13第20話(200) 文挙座満
校訂本文
文挙座満1)
魏の文挙2)、北海の相たりき。
三十八になりける年、違(たが)ふ所ありて、官を解きて、家に居て、勢(いきほ)ひを失ふといふとも、世人、才芸をめでて、かれこれ来(き)集まりて、酒を勧めて、日々に遊び暮らしけり。
「座上の客、つねに満ち、蹲の中に、酒空しからず。何を憂へとせむ」とぞ言ひける。
さもあらばあれ春によそなる宿とても霞の酌(く)まぬ時しなければ
翻刻
文挙座満 魏ノ文挙北海ノ相タリキ卅八ニナリケル/トシタカフトコロアリテ官ヲ解テ家ニ 居テイキヲイヲウシナウト云トモ世人才藝ヲメテテカレコレキ アツマリテ酒ヲススメテ日々ニアソヒクラシケリ座上ノ客恒ニ 満チ蹲ノ中ニ酒不ス空ラナニヲウレヘトセムトソイヒケル さもあらはあれはるによそなるやととても かすみのくまぬときしなけれは/d2-37l
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka13-20.txt · 最終更新: 2018/03/11 15:46 by Satoshi Nakagawa