text:chomonju:s_chomonju594
古今著聞集 変化第二十七
594 天慶八年五日夜宣陽建秋両門の間に馬二万ばかり音しけり・・・
校訂本文
天慶八年五日夜、宣陽1)・建秋2)両門の間に、馬二万ばかり音しけり。内裏引き入るるほど数刻を経けり。左近の脇の陣に候ひける近衛・左兵衛の吉上(きちじやう)、みなこれを聞きけり。始めは馬のおとなひなりけるが、後にはまた人数百人がおとなひにて聞こえける。
同じき十日朝にまた、紫宸殿の前の桜の下より永安門まで、鬼の足跡、馬の足跡など多く3)見えけり。
昔はかかること常にありけるにこそ。
翻刻
天慶八年五日夜宣陽建秋両門のあいたに馬二 万はかりをとしけり内裏引いるる程数剋をへけり 左近脇陣に候ける近衛左兵衛の吉上みなこれを ききけりはしめは馬の音なひなりけるか後には又人 数百人かをとなひにてきこえける同十日朝に又紫宸 殿の前の桜の下より永安門まて鬼のあしあと馬 のあし跡なとおほえ見えけり昔はかかる事常にあり けるにこそ/s469r
text/chomonju/s_chomonju594.txt · 最終更新: 2020/11/10 01:20 by Satoshi Nakagawa