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遊仙窟

ゆうせんくつ

解説

代(中唐)の恋愛小説。張文成(張鷟)の作とされ、唐代小説中、最長編で内容的にも異色の作品である。

奈良時代にはすでに日本に将来され、古写本も多く伝えられており、日本の詩歌、物語文学にあたえた影響ははかりしれないが、中国では早くに散佚した。

文体対句を多用した駢儷文で、多くの詩を挿入してあり、他の唐代伝奇小説にはない特徴を持っている。

また、先行の説話など、多くの典故を引いているのも特徴といえよう。

なお、『唐物語』、『宝物集』には、張文成が則天武后に向けた艶書として『遊仙窟』を書いたとあるが、漢籍に典拠は見当らず、当時(平安時代末期)の俗説とみられる。

内容

『遊仙窟』は作者の一人称という形で話は進んでゆく。

勅命を奉じて故郷を離れ、黄河の源へと旅立った「私(張郎)」は偶然「神仙窟」という桃源郷をたずねる。そこで、張郎は十娘という美しい女に出会い、艶書を交わす。

<つづく>

諸本

参考文献

注釈書等