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蒙求和歌
第14第2話(202) 司馬称好
校訂本文
司馬称好
後漢の司馬徽、字(あざな)は徳操、穎川の人なり。
口に人の短を云はず、人と物語するに、好悪・吉凶を問はず、すべて人の云ふことをば、ことごとく、「好(よ)し」とのみ称しけり。
郷人来て、「我が子の死にたる」と云ひあはすれば、「おほきに好し」と答へけり。妻、このことを聞きて、「なんぢが有徳のゆゑに、人来たりて、良きことも、悪しきことも、言ひあはするに、子死にたり。返り事にさへ、『好し』と答ふること、心無きに似たり」と、いさむれば、「なんぢが言ふこと、またおほきに好し」と答へけり。
とふ人も言葉も千々(ちぢ)にかはれども答ふる道ぞ一つなりけり
翻刻
司馬称好 後漢の司馬徽あさなは徳操穎川の人なり/口に人の短をいはす人とものかたりするに好悪 吉凶をとはすすへて人の云ことをはことことくよしとのみ称しけり郷 人来て我子のしにたるといひあはすれはをほきによしとこたえけり妻 このことをききてなんちか有徳のゆえに人きたりてよきこともあしき こともいひあはするに子(こ)しにたりかへりことにさへよしとこたふること こころなきににたりといさむれはなむちかいふことまたをほきによしと こたえけり とふ人もことはもちちにかはれともこたふるみちそひとつなりけり/d2-39l
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