ユーザ用ツール

サイト用ツール


text:mogyuwaka:ndl_mogyuwaka05-20

文書の過去の版を表示しています。


蒙求和歌

第5第20話(90) 宋女愈謹

校訂本文

宋女愈謹

宋女は鮑蘇が妻なり。夫(をとこ)の心につゆばかりもたがはず、姑(しうとめ)を養ふこと、はなはだ懇(ねんご)ろなり。鮑蘓、衛の国に仕へて、三年を経けるほども、姑を養ふこと怠らず。

鮑蘓、新しき女を迎へ置きてけり。宋女、いまの妻(め)のもとへ、さまざまの物を贈り、情(なさけ)をかけけり。姑を養ふこと、いよいよ深く謹しみけり。

このこと、世に聞こえて、人の妻の良きには、まづ宋女がためしを引きける。おほやけ、聞きあはれび給ひけり。鮑蘓、心ざしを思ひ知りて、つひに二心(ふたごころ)なくなりにけり。

  ありはてぬとがとぞ今はなりなましうきをも慕ふ心ならずは

翻刻

宋女愈謹
宋女は鮑蘓か妻なりをとこのこころにつゆはかりもたかはすしう
とめをやしなう事はなはたねむころなり鮑蘓衛の国につかへて
三年をへけるほともしうとめをやしなふことをこたらす鮑蘓
あたらしき女をむかへをきてけり宋女いまのめのもとへさまさまの
物ををくりなさけをかけけりしうとめをやしなうこといよいよふか
くつつしみけりこのことよにきこえて人のめのよきにはまつ宋女か
ためしをひきけるをほやけききあはれひ給けり鮑蘓ここ
ろさしををもひしりてついにふたこころなくなりにけり
        ありはてぬとかとそいまはなりなまし
        うきをもしたふこころならすは/d1-45r
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka05-20.1512789372.txt.gz · 最終更新: 2017/12/09 12:16 by Satoshi Nakagawa