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text:ise:sag_ise103

伊勢物語

第103段 昔男ありけりいとまめにしちようにてあだなる心なかりけり・・・

校訂本文

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昔、男ありけり。いとまめにしちよう1)にて、あだなる心なかりけり。深草の御門2)になむつかうまつりける。

心あやまりやしたりけん、親王(みこ)たちの使ひ給ひける人をあひいへりけり。さて、

  寝ぬる夜の夢をはかなみまどろめばいやはかなにもなりまさるかな

となん詠みてやりける。

さる歌の汚なげさよ。

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むかしおとこ有けりいとまめにしち/s113r
ようにてあたなる心なかりけりふかくさ
のみかとになむつかうまつりける心あ
やまりやしたりけんみこたちのつかひ給
ける人をあひいへりけりさて
  ねぬる夜の夢をはかなみまとろめは
  いやはかなにもなりまさるかな
となんよみてやりけるさるうたのきた
なけさよ/s113l

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/113?ln=ja

1)
語義不明。実様・実用・実要などの説がある。
2)
仁明天皇
text/ise/sag_ise103.txt · 最終更新: 2024/02/17 17:46 by Satoshi Nakagawa