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text:ise:sag_ise099

伊勢物語

第99段 昔男右近の馬場のひをりの日向かひに立てたりける車に・・・

校訂本文

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昔、男1)、右近の馬場のひをりの日、向かひに立てたりける車に、女の顔の下簾(したすだれ)よりほのかに見えければ、中将なりける男2)の詠みてやりける、

  見ずもあらず見もせぬ人の恋ひしくはあやなく今日やながめ暮らさむ

返し、

  知る知らぬ何かあやなくわきて言はむ思ひのみこそしるべなりけれ

後は誰(たれ)と知りにけり。

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翻刻

むかしおとこ右近の馬場のひをりの日む
かひにたてたりける車に女のかほの
したすたれよりほのかにみえけれは中将
なりけるおとこのよみてやりける
  みすもあらす見もせぬ人の恋しくは
  あやなくけふやなかめくらさむ
返し
  しるしらぬなにかあやなくわきていはむ
  おもひのみこそしるへなりけれ/s110r

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/110?ln=ja

のちはたれとしりにけり/s111r

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/111?ln=ja

1)
「男」、諸本なし
2)
在原業平
text/ise/sag_ise099.txt · 最終更新: 2024/02/15 14:13 by Satoshi Nakagawa