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text:ise:sag_ise093

伊勢物語

第93段 昔男身は賤しくていとなき人を思ひかけたりけり・・・

校訂本文

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昔、男、身は賤しくて、いとになき人を思ひかけたりけり。少し頼みぬべきさまにやありけん、臥して思ひ起きて思ひ、思ひわびて詠める、

  あふなあふな1)思ひはすべしなぞへなく高き賤しき苦しかりけり

昔もかかることは、世のことはりにやありけむ。

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挿絵

第93段

翻刻

昔おとこ身はいやしくていとになき
人をおもひかけたりけりすこしたのみ/s104r
ぬへきさまにやありけんふしておも
ひおきておもひ思ひわひてよめる
  あふなあふな思ひはすへしなそへなく
  たかきいやしきくるしかりけり
むかしもかかることは世のことはりに
やありけむ/s104l

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/104?ln=ja

【絵】/s105r

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/105?ln=ja

1)
「あぶなあぶな」とする説もある。
text/ise/sag_ise093.txt · 最終更新: 2024/02/11 21:17 by Satoshi Nakagawa