醒睡笑 巻7 似合うたのぞみ
連歌師のもとに奉公したりし小者、今度は町人かたにゐけり。友たる者尋ぬる。「今つとに起きず、宵より寝(い)ねて心安きかや」と言へば、「そちが言ふごとくなり。さりながら、今の亭主も、時ならず、うかと空を詠(なが)め詠めするが、『悪(わる)うしたらば、あれも連歌師にならうか』と思うて案ずるよ」と。
一 連歌師のもとに奉公したりし小者今度 は町人かたに居けり友たる者尋ぬる今 夙(つと)にをきす宵(よひ)よりいねてこころやすき かやといへはそちがいふごとく也さりながら今の/n7-26l
亭主も時ならすうかと空を詠(ながめ)々するがわ るうしたらばあれも連歌しにならふかと 思ふてあんするよと/n7-27r