醒睡笑 巻7 似合うたのぞみ
和泉の堺は、一町一町に「御用心」と名を呼びて、夜番する者、一人宛かならずあり。その傍輩(はうばい)ども、四・五人集まり懺悔(さんげ)の夜語り、時移りけるに、南中(みなみなか)の町の夜番が申しけるやう、「われは金子を十枚持ちたや。乗物に乗つて御用心が呼ばりたい」と。
一 和泉の堺(さかい)は一町一町に御用心と名をよひて 夜番する者一人宛かならすあり其傍輩(はうはい) ども四五人あつまりさんげの夜かたり時移(うつり)/n7-24l
けるに南中(みなみなか)の町の夜番か申けるやう我 れは金子を十枚もちたや乗物(のりもの)にのつて 御用心がよはりたいと/n7-25r