醒睡笑 巻7 いひ損ひはなほらぬ
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禁中に御能あり。「狸の腹鼓1)」と狂言にする。狸が出でけるを、狩人(かりびと)、「なんぢ、何物ぞ」。「われは狸の王なり」と言ふ。「何と、狸の王ぢや。王ならば射殺いてくれうず」と。
あやまつて、一字けがす。恐れても言ひ直さんやうなし2)。
一 禁中に御能(のふ)あり狸(たぬき)の腹鼓(はらつつみ)と狂言(けうけん)にする 狸か出けるを狩人(かりひと)なんぢなに物ぞ我れ は狸の王なりといふなにと狸の王ちや 王ならは射ころいてくれふすと あやまつて一字けがす恐れてもいひなをさんやうなし/n7-17r