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醒睡笑 巻6 児の噂

2 振舞ひの菜に茗荷の刺身ありしを・・・

校訂本文

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振舞ひの菜に茗荷(みやうが)の刺身ありしを、人ありて、小児(こちご)に向かひ、「これをば、いにしへより今に至り、もの読み覚えむことをたしなむほどの人は、みな鈍根草(どんこんさう)と名付け、もの忘れするとて食はぬ」よし、申したれば、児聞いて、「あこは、それなら食はう。食うて、ひだるさ1)忘れう」と。

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翻刻

一 ふるまひの菜に茗荷のさしみありしを人
  有て小児にむかひ是をはいにしへよりいまに
  いたり物よみおほえむ事をたしなむほとの人は
  みなどんこん草となつけ物わすれするとてく
  はぬよし申たれは児きいてあこはそれならく/n6-4r
  はふくふてひたるきわすれうと/n6-4l
1)
「ひだるさ」は底本「ひたるき」。諸本により訂正。