醒睡笑 巻3 自堕落
ひそかにつかはす使の小者、久しく病1)に臥しけり。せんかたなくて、坊主みづから魚屋に行く。
いかにも夜更け静まりたるに、門を叩く音せり。内より、「誰人ぞ」と高声(かうしやう)にとがめければ、「在家屋から魚買ひに来た。戸を開けよ」と。
一 ひそかにつかはす使の小者ひさしくやまふ にふしけりせんかたなくて坊主みづから 魚屋にゆくいかにも夜ふけしつまりたる/n3-38l
に門をたたくをとせり内よりたれ人そと 高声にとかめけれは在家屋から魚かいに きた戸をあけよと/n3-39r