醒睡笑 巻2 躻(うつけ)
堺の正法寺に、恵雲とて、けしからず犬に恐るる坊主あり。珠旭といふ寺僧とつれだち、囉斎(ろさい)に出でしが、途中にゑのこあるを見付け、そのまま逃ぐる。珠旭、かの僧をとらへて、「あれは犬ではない。ゑのこにてあるぞ。われとつれだち通れ」と言へば、「いやとよ。子があれは親があるもの」と言ふ言ふ逃げて帰りごとは。
一 堺の正法寺に恵雲とてけしからす犬に/n2-24r
をそるる坊主あり珠旭といふ寺僧とつれた ち囉斎に出しが途中にゑのこあるを見 つけそのままにくる珠旭彼僧をとらへて あれは犬てはないゑのこにてあるそわれと つれたちとをれといへはいやとよ子かあれは おやかある物といふいふにけてかへりことは/n2-24l