醒睡笑 巻2 名付け親方
禅門になりたる者に向ひ、「名は道見(だうけん)といふべし。人ありて読みを問はば、『道(だう)はみち、見(けん)はみると読むと答へよ」。「かしこまりて候ふ。ありがたし。みる1)といふ物は、そのままひじきに似たる物のことでござあるほどに、なかなか忘れはつかまつるまい」と言ひしに、ある人、「そちが名は、道はみちであらうず。見は」と問へば、「見はひじき」。
一 禅門になりたる者にむかひ名は道見と いふへし人ありてよみをとはは道はみち 見はみるとよむとこたへよかしこまりて候 ありかたしみるといふ物はそのままひしきに/n2-9r
にたる物の事て御さあるほとに中々わすれは 仕まいといひしにある人そちか名は道はみちて あらうす見はととへは見はひじき/n2-9l