醒睡笑 巻1 祝ひ過ぎるも異なもの
大晦日(おほつごもり)に、六つなる息子を近付け、「元日の朝、わが、この頭巾を手に持ちたらば、『ととの、あれ、ともかうも頭巾1)を持たれば』と言へ」と教へおきて、明朝、頭巾を手に持ち、かぶりたきをこらへ、あちこちし見せければ、息子、「てては『ともこもせう』と仰せあつたが、ともかうもえおしやらぬの」と。
一 大晦日に六つなるむすこをちかつけ元日の 朝わが此頭巾を手にもちたらはととのあれ ともかうも頭巾をもたれはといへとをしへを きて明朝頭巾を手にもちかぶりたきをこら へあちこちし見せけれはむすこててはともこ もせうとおほせあつたかともかうもえおしやら/n1-76r
ぬのと/n1-76l