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text:yomeiuji:uji071 [2015/02/22 21:04] – [第71話(巻5・第2話)伏見修理大夫の許ヘ、殿上人共、行向ふ事] Satoshi Nakagawatext:yomeiuji:uji071 [2018/03/26 15:30] (現在) – [第71話(巻5・第2話)伏見修理大夫の許ヘ、殿上人共、行向ふ事] Satoshi Nakagawa
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 宇治拾遺物語 宇治拾遺物語
-====== 第71話(巻5・第2話)伏見修理大夫のヘ、殿上人共、行向ふ事 ======+====== 第71話(巻5・第2話)伏見修理大夫のもとヘ、殿上人ども向ふ事 ======
  
 **伏見修理大夫許ヘ殿上人共行向事** **伏見修理大夫許ヘ殿上人共行向事**
  
-**伏見修理大夫のヘ、殿上人共、行向ふ事**+**伏見修理大夫のもとヘ、殿上人ども向ふ事**
  
-これもいまは昔、伏見修理大夫のもとへ、殿上人廿人ばかりをしよせたりけるに、俄かにさはぎにけり。肴物とりあへず、沈地のの机に時の物ども色々、ただをしはかるべし。+===== 校訂本文 =====
  
-たびたびになりて、ををのたはぶれいでけるに厩に黒馬の額すこし白きを二十疋たてたりけり。移の鞍廿具くら。殿上人、酔みだれて此馬うつの鞍をきてのせて返にけり+これも今は昔伏見修理大夫((藤原俊綱・橘俊綱))もとへ殿上人二十人ばかり押し寄せたりけるににはかに騒ぎにけり。肴物とあへず沈地のの、時の物ども色々、ただおしはかるべし。
  
-つとめて「さても昨日いみじくしる物か」といひて、「いざ、又、をしよせん」といひて、又廿人押寄たりければ、このたていして俄なるさは昨日かはりてすびつをかざりたりけり。厩をみれば栗毛なる馬を廿までたてたりけこれもひたい白かりけり。+盃、びたびにて、おのおのたはぶれ出でけるに、厩(うや)に、黒馬の額少し白きを、二十疋たてたりけ移(うつし)の鞍二十具、鞍掛(くらかけ)にけたけり。殿上人、酔(ゑ)ひ乱れて、おのおのこの馬に移の鞍置きて、乗せて返しにけり。
  
-かた、かばかりの人はなかりけり。これは宇治殿の御子におはしけり。されども公達おほくおはしましければ、橘の俊遠といひて、世中の徳人ありけり。其子になして、かかるさまの人にぞなさせ給たりけるとか。+つとめて、「さても、昨日、いみじくしたるものかな」と言ひて、「いざ、また押し寄せん」と言ひて、また二十人、押し寄せたりければ、このたびは、さる体(てい)にして、にはかなるさまは昨日にかはりて、炭櫃(すびつ)を飾りたりけり。厩を見れば、黒栗毛なる馬をぞ、二十疋までたてたりける。これも額白かりけり。 
 + 
 +おほかた、かばかりの人はなかりけり。これは宇治殿((藤原頼通))の御子におはしけり。されども公達くおはしましければ、橘の俊遠((橘俊遠))といひて、世中の徳人ありけり、その子になして、かかるさまの人にぞなさせ給たりけるとか。 
 + 
 +===== 翻刻 ===== 
 + 
 +  これもいまは昔伏見修理大夫のもとへ殿上人廿人はかりをし 
 +  よせたりけるに俄かにさはきにけり肴物とりあへす沈地のの机に 
 +  時の物とも色々たたをしはかるへし盃たひたひになりてをのをの 
 +  たはふれいてけるに厩に黒馬の額すこし白きを二十疋たて 
 +  たりけり移の鞍廿具くらかけにかけたりけり殿上人酔み 
 +  たれてをのをの此馬にうつしの鞍をきてのせて返しにけり 
 +  つとめてさても昨日いみしくしたる物かなといひていさ又をし 
 +  よせんといひて又廿人押寄たりけれはこのたひはさるていに 
 +  して俄なるさまは昨日にかはりてすひつをかさりたりけり 
 +  厩をみれは黒栗毛なる馬をそ廿疋まてたてたりけるこれも 
 +  ひたい白かりけり大かたかはかりの人はなかりけりこれは宇治殿 
 +  の御子におはしけりされとも公達おほくおはしましけれは橘の 
 +  俊遠といひて世中の徳人ありけり其子になしてかかるさまの/74ウy152 
 + 
 +  人にそなさせ給たりけるとか/75オy153
  
text/yomeiuji/uji071.1424606663.txt.gz · 最終更新: 2015/02/22 21:04 by Satoshi Nakagawa