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--- text:shaseki:ko_shaseki04b-03 [2018/11/17 18:47] – 作成 Satoshi Nakagawa
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   　　上人子持事
-  信州塩田の或山寺に上人有り三の腹に三人の子をもてり
+  信州塩田ノ或山寺ニ上人有リ三ノ腹ニ三人ノ子ヲモテリ
-  初の腹の子はまめやかにしのひけれはひしりの子といひけれとも不
+  初ノ腹ノ子ハマメヤカニシノヒケレハヒシリノ子トイヒケレトモ不
-  審に覚て名をは思もよらすとつく次の腹の子は時々は我房に
+  審ニ覚テ名ヲハ思モヨラストツク次ノ腹ノ子ハ時々ハ我房ニ
-  もしのひしのひかよひけれはひたすら疑の心もうすくして名はさもある
+  モシノヒシノヒカヨヒケレハヒタスラ疑ノ心モウスクシテ名ハサモアル
-  らんと付く後の妻はうちたえ我房につきてうたかひの心なかりけ
+  ラント付ク後ノ妻ハウチタエ我房ニツキテウタカヒノ心ナカリケ
-  れは名をは子細なしと付これは当時の事也有人にあひてみつ
+  レハ名ヲハ子細ナシト付コレハ当時ノ事也有人ニアヒテミツ
-  からなのりてこの上人三人の子有りしかしかと名付て候これは
+  カラナノリテコノ上人三人ノ子有リシカシカト名付テ候コレハ
-  子細なしか母なりとて妻もいてて見参し思もよらすもすこしを
+  子細ナシカ母ナリトテ妻モイテテ見参シ思モヨラスモスコシヲ
-  となしき童にてありけるを見たるよし物語侍り上人の子もつ事
+  トナシキ童ニテアリケルヲ見タルヨシ物語侍リ上人ノ子モツ事
-  先蹤なきにあらす天竺の鳩摩羅炎三蔵優填王の栴檀の像／k4-137l
+  先蹤ナキニアラス天竺ノ鳩摩羅炎三蔵優填王ノ栴檀ノ像／k4-137l
 https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00012949#?c=0&m=0&s=0&cv=136&r=0&xywh=-646%2C273%2C6490%2C3835
-  を負て漢土へわたし奉る亀茲国等の四の国をふるに彼国の
+  ヲ負テ漢土ヘワタシ奉ル亀茲国等ノ四ノ国ヲフルニ彼国ノ
-  王像をととめ又聖の種つかんとて王の女ををし合て羅什三蔵
+  王像ヲトトメ又聖ノ種ツカントテ王ノ女ヲヲシ合テ羅什三蔵
-  を生り鳩摩羅炎はかの国にして入滅す什公幼少の時羅漢の
+  ヲ生リ鳩摩羅炎ハカノ国ニシテ入滅ス什公幼少ノ時羅漢ノ
-  聖者相して云この子漢土へゆかは三十餘の年世におつへき相
+  聖者相シテ云コノ子漢土ヘユカハ三十餘ノ年世ニオツヘキ相
-  ありといふ成長の後先師の本意をとけんとしてかの像を漢土へわ
+  アリトイフ成長ノ後先師ノ本意ヲトケントシテカノ像ヲ漢土ヘワ
-  たさんとす母羅漢の語を憶して子をいさむといへともわか身は縦ひ
+  タサントス母羅漢ノ語ヲ憶シテ子ヲイサムトイヘトモワカ身ハ縦ヒ
-  犯戒し塗炭に堕共衆生の利益有るへくはいたむへきにあらす
+  犯戒シ塗炭ニ堕共衆生ノ利益有ルヘクハイタムヘキニアラス
-  とて像を漢土へわたし奉る今の嵯峨の釈迦これなり嵯峨の
+  トテ像ヲ漢土ヘワタシ奉ル今ノ嵯峨ノ釈迦コレナリ嵯峨ノ
-  釈迦の事律の中には亀茲国等の四国の王次第に本仏を
+  釈迦ノ事律ノ中ニハ亀茲国等ノ四国ノ王次第ニ本仏ヲ
-  留て写て是をわたしたてまつる第四伝とみえたり奝然法橋盗
+  留テ写テ是ヲワタシタテマツル第四伝トミエタリ奝然法橋盗
-  みて唐の本仏を渡せりといへり嵯峨には第二転と申とかや実
+  ミテ唐ノ本仏ヲ渡セリトイヘリ嵯峨ニハ第二転ト申トカヤ実
-  にこれをしらす呉王后を二人をし合て聖の種をつかんとす遂に／k4-138r
+  ニコレヲシラス呉王后ヲ二人ヲシ合テ聖ノ種ヲツカントス遂ニ／k4-138r
-  生肇融叡の四人の弟子をまうく生肇等は羅什の子とつね
+  生肇融叡ノ四人ノ弟子ヲマウク生肇等ハ羅什ノ子トツネ
-  に申なれたり但一説只の弟子といへり事実知りかたし
+  ニ申ナレタリ但一説只ノ弟子トイヘリ事実知リカタシ
-  上人の子はいかにも智者にてひしりなりと申せは或人難て云
+  上人ノ子ハイカニモ智者ニテヒシリナリト申セハ或人難テ云
-  父に似て聖るへからすと答て云さらは一生不犯の聖をこそ父
+  父ニ似テ聖ルヘカラスト答テ云サラハ一生不犯ノ聖ヲコソ父
-  に似て聖らんすらんと答て比興云云南山の感通伝に大師天
+  ニ似テ聖ランスラント答テ比興云云南山ノ感通伝ニ大師天
-  人に問て云く羅什乱行の聞あり実か不や答云三賢の菩
+  人ニ問テ云ク羅什乱行ノ聞アリ実カ不ヤ答云三賢ノ菩
-  薩也不可沙汰云云私推云末代は持戒の人希也然とも正
+  薩也不可沙汰云云私推云末代ハ持戒ノ人希也然トモ正
-  法を弘通せは可有益其跡を示給にや又問云法華は前後
+  法ヲ弘通セハ可有益其跡ヲ示給ニヤ又問云法華ハ前後
-  有四品何唯什公訳天下に翫之答云什公七仏の出世の毎
+  有四品何唯什公訳天下ニ翫之答云什公七仏ノ出世ノ毎
-  度翻訳の三蔵なり十輪経に正見僧と云は犯戒なれ共正法
+  度翻訳ノ三蔵ナリ十輪経ニ正見僧ト云ハ犯戒ナレ共正法
-  を説く可為師といへり心地観経の心同之安楽行品の不
+  ヲ説ク可為師トイヘリ心地観経ノ心同之安楽行品ノ不
-  親近国王大臣の文を慈恩大師釈すとして呉王妻を譲しかは／k4-138l
+  親近国王大臣ノ文ヲ慈恩大師釈ストシテ呉王妻ヲ譲シカハ／k4-138l
 https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00012949#?c=0&m=0&s=0&cv=137&r=0&xywh=-2005%2C520%2C5409%2C3195
-  恥を千歳にのこすといへりと犯戒の後は縵衣をかけて寺の外に
+  恥ヲ千歳ニノコストイヘリト犯戒ノ後ハ縵衣ヲカケテ寺ノ外ニ
-  居し寺に入て説法の時は度ことに我身は淤泥のことし所説
+  居シ寺ニ入テ説法ノ時ハ度コトニ我身ハ淤泥ノコトシ所説
-  の法は蓮華のことしといへりさて法華翻訳の庭に四人の弟
+  ノ法ハ蓮華ノコトシトイヘリサテ法華翻訳ノ庭ニ四人ノ弟
-  子と共に訳せり冨楼那の授記の文の人天交接両得相見
+  子ト共ニ訳セリ冨楼那ノ授記ノ文ノ人天交接両得相見
-  は肇公の訳の語也古訳には人見天々見人と訳せられけるを
+  ハ肇公ノ訳ノ語也古訳ニハ人見天々見人ト訳セラレケルヲ
-  聞にくく候とて釈しなおさる仍時の人これをほめてまさる肇公と
+  聞ニクク候トテ釈シナオサル仍時ノ人コレヲホメテマサル肇公ト
-  いへり一説には叡公と云云かかるためしもあれともかの上代の聖
+  イヘリ一説ニハ叡公ト云云カカルタメシモアレトモカノ上代ノ聖
-  人は智行徳たけ和光の方便利益の因縁まことにはかりかたし
+  人ハ智行徳タケ和光ノ方便利益ノ因縁マコトニハカリカタシ
-  されはその子も智慧有り利益ひろし近代の上人は父上人も
+  サレハソノ子モ智慧有リ利益ヒロシ近代ノ上人ハ父上人モ
-  愚痴なれはましてその子上人の争かはかはかしからんさせる益もな
+  愚痴ナレハマシテソノ子上人ノ争カハカハカシカランサセル益モナ
-  くよそよりをとす事もなきによしなき種をのみつくにこそ凡そ代く
+  クヨソヨリヲトス事モナキニヨシナキ種ヲノミツクニコソ凡ソ代ク
-  たり人つたなくして智慧も有り徳行も有る上人年おひて希也／k4-139r
+  タリ人ツタナクシテ智慧モ有リ徳行モ有ル上人年オヒテ希也／k4-139r
-  つらつら事の心を思に在家出家道ことなれとも心もたけくをこれ
+  ツラツラ事ノ心ヲ思ニ在家出家道コトナレトモ心モタケクヲコレ
-  る振舞有し昔の武士は王位をも奪はんとしき純友か謀反をお
+  ル振舞有シ昔ノ武士ハ王位ヲモ奪ハントシキ純友カ謀反ヲオ
-  こし将門か平親王といはれしかことし畠山の重忠か館の内に
+  コシ将門カ平親王トイハレシカコトシ畠山ノ重忠カ館ノ内ニ
-  煙をたてさりけるは鎮守府の将軍を心さしけるとかやかかりし武
+  煙ヲタテサリケルハ鎮守府ノ将軍ヲ心サシケルトカヤカカリシ武
-  士の親類骨肉の中にをのつから出家学道せしは発心もまこと
+  士ノ親類骨肉ノ中ニヲノツカラ出家学道セシハ発心モマコト
-  あり器量もつよく智慧もふかく修行もはけし上古の大師先徳
+  アリ器量モツヨク智慧モフカク修行モハケシ上古ノ大師先徳
-  多は田舎の人也南都の超勝寺の本願浄海上人は東大寺
+  多ハ田舎ノ人也南都ノ超勝寺ノ本願浄海上人ハ東大寺
-  法師也田舎の武士のすゑとかや京の人とも云り身の長七尺
+  法師也田舎ノ武士ノスヱトカヤ京ノ人トモ云リ身ノ長七尺
-  はかりにて器量人にすくれたり興福寺と合戦すへきにてすてに
+  ハカリニテ器量人ニスクレタリ興福寺ト合戦スヘキニテステニ
-  甲冑を帯して軍の庭に出てつくつく思廻に抑寺に住する本意仏
+  甲冑ヲ帯シテ軍ノ庭ニ出テツクツク思廻ニ抑寺ニ住スル本意仏
-  法修行のためなり合戦をするほとならは俗の形にてこそあらめよ
+  法修行ノタメナリ合戦ヲスルホトナラハ俗ノ形ニテコソアラメヨ
-  しなしと思返してやかて超勝寺に引籠りて一すちに修行する事／k4-139l
+  シナシト思返シテヤカテ超勝寺ニ引籠リテ一スチニ修行スル事／k4-139l
 https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00012949#?c=0&m=0&s=0&cv=138&r=0&xywh=-2430%2C436%2C5841%2C3451
-  勇猛精進にして香の煙の中に生身の弥陀の像現し給ふやかて
+  勇猛精進ニシテ香ノ煙ノ中ニ生身ノ弥陀ノ像現シ給フヤカテ
-  とりととめ奉れりともいひ又うつし奉れりともいへりかの像今にい
+  トリトトメ奉レリトモイヒ又ウツシ奉レリトモイヘリカノ像今ニイ
-  ます御長五六寸はかりの像なり御形嵯峨の釈迦に似給へ
+  マス御長五六寸ハカリノ像ナリ御形嵯峨ノ釈迦ニ似給ヘ
-  り先年拝之発心修行まこと有し昔はかかる感応もありき然
+  リ先年拝之発心修行マコト有シ昔ハカカル感応モアリキ然
-  に近代は在家の風情みなかはりて器量もよはく果報もくたりて
+  ニ近代ハ在家ノ風情ミナカハリテ器量モヨハク果報モクタリテ
-  心のかさなくをほけなき企てなしたた世にしたかひへつらひて名を
+  心ノカサナクヲホケナキ企テナシタタ世ニシタカヒヘツラヒテ名ヲ
-  もおしみ恥をもしれる人年に随て希也かたのことく妻子をもや
+  モオシミ恥ヲモシレル人年ニ随テ希也カタノコトク妻子ヲモヤ
-  しなひ身命をもつけは不足の思なくして驕れる心なしかかる在家
+  シナヒ身命ヲモツケハ不足ノ思ナクシテ驕レル心ナシカカル在家
-  人の子息の中に随分に人々しく甲斐々々しきをはえらひて
+  人ノ子息ノ中ニ随分ニ人々シク甲斐々々シキヲハエラヒテ
-  家をつかせゑりくつのすて物不覚人を法師になして乞食はしも
+  家ヲツカセヱリクツノステ物不覚人ヲ法師ニナシテ乞食ハシモ
-  せよかしとて智慧をえらひ器量を見るにをよはす道行のためにも
+  セヨカシトテ智慧ヲエラヒ器量ヲ見ルニヲヨハス道行ノタメニモ
-  あらす解脱を期する志もなしたた髪をそり衣をそめたりなにとて／k4-140r
+  アラス解脱ヲ期スル志モナシタタ髪ヲソリ衣ヲソメタリナニトテ／k4-140r
-  かはかはかしからんこれたた仏法をかろくし世間ををもく思へる世
+  カハカハカシカランコレタタ仏法ヲカロクシ世間ヲヲモク思ヘル世
-  俗の風儀也悲哉その中に希にも仏道を行し智慧も有るこそ
+  俗ノ風儀也悲哉ソノ中ニ希ニモ仏道ヲ行シ智慧モ有ルコソ
-  しかるへき宿習なれ涅槃経には我滅後に飢餓のために出家
+  シカルヘキ宿習ナレ涅槃経ニハ我滅後ニ飢餓ノタメニ出家
-  受戒の者おほかるへしこれを意楽損害の者とすといへり戒行
+  受戒ノ者オホカルヘシコレヲ意楽損害ノ者トストイヘリ戒行
-  をまほるといへとも涅槃を期せすして渡世を意とする故也この人
+  ヲマホルトイヘトモ涅槃ヲ期セスシテ渡世ヲ意トスル故也コノ人
-  供養をうくへからすといへりまして破戒無慙にして出家の形と
+  供養ヲウクヘカラストイヘリマシテ破戒無慙ニシテ出家ノ形ト
-  して解脱を期せさるか空く供養をうくるは賊分斉とて賊の
+  シテ解脱ヲ期セサルカ空ク供養ヲウクルハ賊分斉トテ賊ノ
-  分といへり或は禿居士とも名け袈裟を被たる猟師ともいへり
+  分トイヘリ或ハ禿居士トモ名ケ袈裟ヲ被タル猟師トモイヘリ
-  悲かるへき末代也かかる世に法滅の菩提心を発し如説の修
+  悲カルヘキ末代也カカル世ニ法滅ノ菩提心ヲ発シ如説ノ修
-  行をもはけまん人まめやかに貴かるへきなり戒を持に付て四分
+  行ヲモハケマン人マメヤカニ貴カルヘキナリ戒ヲ持ニ付テ四分
-  律には四分斉を立たり　　一には破戒にして渡世に施をうく
+  律ニハ四分斉ヲ立タリ　　一ニハ破戒ニシテ渡世ニ施ヲウク
-  るをは賊分斉と云り施主の財を徒に失ふ是賊なり／k4-140l
+  ルヲハ賊分斉ト云リ施主ノ財ヲ徒ニ失フ是賊ナリ／k4-140l
 https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00012949#?c=0&m=0&s=0&cv=139&r=0&xywh=-2512%2C460%2C5841%2C3451
-  二罪分斉三迹をまぬかれんと思これ心せはきものなり
+  二罪分斉三迹ヲマヌカレント思コレ心セハキモノナリ
-  三福分斉天上に生ぜせんために持す　　四道分斉涅槃の
+  三福分斉天上ニ生ゼセンタメニ持ス　　四道分斉涅槃ノ
-  ために持なり又四用と云は破戒にて施を受るは盗用賊分也
+  タメニ持ナリ又四用ト云ハ破戒ニテ施ヲ受ルハ盗用賊分也
-  二負倩用持戒なれとも五観せさる負物となりて施主に還す
+  二負倩用持戒ナレトモ五観セサル負物トナリテ施主ニ還ス
-  へし　　三親友用三果の聖者親類のものを用るかことし
+  ヘシ　　三親友用三果ノ聖者親類ノモノヲ用ルカコトシ
-  四自己用羅漢は応供の徳そなはり自己の物を用るかことし
+  四自己用羅漢ハ応供ノ徳ソナハリ自己ノ物ヲ用ルカコトシ
-  破戒の物を賊分斉といふ事第二の戒は律の中に微細也た
+  破戒ノ物ヲ賊分斉トイフ事第二ノ戒ハ律ノ中ニ微細也タ
-  とひ倫盗の心なけれ共いたつらに他の賊を損するこれみな盗也
+  トヒ倫盗ノ心ナケレ共イタツラニ他ノ賊ヲ損スルコレミナ盗也
-  たとひ我身一分の利なけれとも他を損するを盗といふ互用三
+  タトヒ我身一分ノ利ナケレトモ他ヲ損スルヲ盗トイフ互用三
-  宝物の盗たること施主の福分をうしなふ故也こまかにこれをい
+  宝物ノ盗タルコト施主ノ福分ヲウシナフ故也コマカニコレヲイ
-  へはこの持戒する人まれなり本説に知て不行国の師也不知
+  ヘハコノ持戒スル人マレナリ本説ニ知テ不行国ノ師也不知
-  とも行するは国の用なり知而行するは国の宝也不知不行は／k4-141r
+  トモ行スルハ国ノ用ナリ知而行スルハ国ノ宝也不知不行ハ／k4-141r
-  国の賊といへり学する事もなく行する事もなく徒にあそひたはふ
+  国ノ賊トイヘリ学スル事モナク行スル事モナク徒ニアソヒタハフ
-  れて国の費をしらさる人のみ世中におほしこのいましめのかれかた
+  レテ国ノ費ヲシラサル人ノミ世中ニオホシコノイマシメノカレカタ
-  しこれは世間の俗の中の事なり仏法の中これになそらふへし智
+  シコレハ世間ノ俗ノ中ノ事ナリ仏法ノ中コレニナソラフヘシ智
-  行相兼へし大論云智慧有とも多聞なき実相をみす眼あれ
+  行相兼ヘシ大論云智慧有トモ多聞ナキ実相ヲミス眼アレ
-  とも燈なき闇の中の如し多聞なれとも智慧なき実相をしらす
+  トモ燈ナキ闇ノ中ノ如シ多聞ナレトモ智慧ナキ実相ヲシラス
-  燈あれとも眼なきかことし智慧多聞有て実相を知る眼あて
+  燈アレトモ眼ナキカコトシ智慧多聞有テ実相ヲ知ル眼アテ
-  明中にあるか如し智慧もなく多聞もなき人は人身に似たる牛也
+  明中ニアルカ如シ智慧モナク多聞モナキ人ハ人身ニ似タル牛也
-  といへりまことに人身の牛世間におほし恥かしや恥かしや
+  トイヘリマコトニ人身ノ牛世間ニオホシ恥カシヤ恥カシヤ
-  三に福分斉をは善導の釈に人の皮をきたる牛なりといへる心
+  三ニ福分斉ヲハ善導ノ釈ニ人ノ皮ヲキタル牛ナリトイヘル心
-  これに同し施戒禅定孝養等の福行せさるものたた皮はかり
+  コレニ同シ施戒禅定孝養等ノ福行セサルモノタタ皮ハカリ
-  人なりそこはたた畜類なるへし　　　　南山宣律師業疏釈
+  人ナリソコハタタ畜類ナルヘシ　　　　南山宣律師業疏釈
-  中に引智論云六情根完具智鑒亦明利而不求道法唐／k4-141l
+  中ニ引智論云六情根完具智鑒亦明利而不求道法唐／k4-141l
 https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00012949#?c=0&m=0&s=0&cv=140&r=0&xywh=-1952%2C504%2C5409%2C3195
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   　　道行何耶一切無染者是也良由衆生無始封著是
   此是彼是得是失因之起染纏縛有獄故世鈍者多著財
-  色小有利者多貪名見已上祖師の意みなをなしきにや大慧
+  色小有利者多貪名見已上祖師ノ意ミナヲナシキニヤ大慧
-  禅師云只染汗を誡む世間事より乃至菩提涅槃まて著す
+  禅師云只染汗ヲ誡ム世間事ヨリ乃至菩提涅槃マテ著ス
-  るを染汗といへり／k4-142r
+  ルヲ染汗トイヘリ／k4-142r
 https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00012949#?c=0&m=0&s=0&cv=141&r=0&xywh=244%2C389%2C5841%2C3451