text:jikkinsho:s_jikkinsho10-71
差分
このページの2つのバージョン間の差分を表示します。
text:jikkinsho:s_jikkinsho10-71 [2016/04/19 13:01] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:jikkinsho:s_jikkinsho10-71 [2016/04/19 13:02] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
---|---|---|---|
行 6: | 行 6: | ||
鳥羽院((鳥羽天皇))の御時、十楽講のついでに御遊ありけり。夜更くるままに、つねよりもおもしろかりければ、敦兼刑部卿((藤原敦兼))の子ども、季兼((藤原季兼))・季行((藤原季行))弟兄(おととひ)、篳篥(ひちりき)吹きて候ひける。 | 鳥羽院((鳥羽天皇))の御時、十楽講のついでに御遊ありけり。夜更くるままに、つねよりもおもしろかりければ、敦兼刑部卿((藤原敦兼))の子ども、季兼((藤原季兼))・季行((藤原季行))弟兄(おととひ)、篳篥(ひちりき)吹きて候ひける。 | ||
- | つねの音取りにも似ず、調子のやうなるものを、同音に吹き合はせたりけり。人々、ものの音をとどめて、耳をかたぶけけるほどに、ある人、笛にて、「胡老子」といふ楽を吹き出だしたりけるによりて、ことさめてけり。 | + | つねの音取りにも似ず、調子のやうなるものを、同音に吹き合はせたりけり。人々、ものの音をとどめて、耳をかたぶけけるほどに、ある人、笛にて、胡老子といふ楽を吹き出だしたりけるによりて、ことさめてけり。 |
- | 「篳篥の『小調子』といふ秘曲を吹かむとするけすらひを知らで、ことをさまし給へる、長き世の恥なり」とぞ、ある人、申しける。 | + | 「篳篥の、小調子といふ秘曲を吹かむとするけすらひを知らで、ことをさまし給へる、長き世の恥なり」とぞ、ある人、申しける。 |
さやうの庭に候ふほどの笛吹きにて、さる不覚やせらるべきなれども、これは管絃の道をよくかよはして、知らざるがいたすところなり。すべては、わがせぬわざなりとも、「さることあり」とは必ず心知るべきことなり。 | さやうの庭に候ふほどの笛吹きにて、さる不覚やせらるべきなれども、これは管絃の道をよくかよはして、知らざるがいたすところなり。すべては、わがせぬわざなりとも、「さることあり」とは必ず心知るべきことなり。 |
text/jikkinsho/s_jikkinsho10-71.txt · 最終更新: 2016/04/19 13:02 by Satoshi Nakagawa