text:jikkinsho:s_jikkinsho04-01

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--- text:jikkinsho:s_jikkinsho04-01 [2015/10/27 14:36] – 作成 Satoshi Nakagawa
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 かくて、身心安楽にて、終り給ひにけり。
-朝野僉載にいはく、
+『朝野僉載』にいはく、
 　　人死留名　虎死留皮
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 　　口是禍門也　舌是禍根也
-養生経にいはく、
+『養生経』にいはく、
 　　使口如鼻　終身勿事
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 などいはる文を思はへて、かやうにのたまへるにや。
-また、孝子伝には、
+また、『孝子伝』には、
 　　多言害身多事害神
-とも見たれば、よくよくつつしみ戒(いまし)むべし。
+とも見たれば、よくよくつつしみ、いましむべし。
 また、人の寄り合ひて、うちささやきなむどせむ所へは、始めより交り居ざらむほかは、寄るべからず。おのづから悪しく行き合ひたりとも、さらぬやうにて立ち退くべし。
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 ===== 翻刻 =====
-  行基菩薩菅原寺の東南院にして終をとり給
+  行基菩薩菅原寺ノ東南院ニシテ終ヲトリ給
-  ける時、弟子共に教へいましめて云く、口の虎は身を
+  ケル時、弟子共ニ教ヘイマシメテ云ク、口ノ虎ハ身ヲ
-  破ふる、舌のつるきは命をたつ、口を鼻の如くにすれは、後
+  破フル、舌ノツルキハ命ヲタツ、口ヲ鼻ノ如クニスレハ、後
-  あやまつ事なし、虎は死て皮をのこす、人は死て名を
+  アヤマツ事ナシ、虎ハ死テ皮ヲノコス、人ハ死テ名ヲ
-  残す、是を書ととめて、彼遺言と名て、今につたふ、さ
+  残ス、是ヲ書トトメテ、彼遺言ト名テ、今ニツタフ、サ
-  て其時読へる哥
+  テ其時読ヘル哥
-    のりの月ひさしくもかなと思へとも、さよふけぬらしひかりかくしつ／k140
+    ノリノ月ヒサシクモカナト思ヘトモ、サヨフケヌラシヒカリカクシツ／k140
-  かくて身心安楽にて終り給にけり、朝野僉載云、
+  カクテ身心安楽ニテ終リ給ニケリ、朝野僉載云、
   人死留名、虎死留皮、又云、口是禍門也、舌是禍根也、
-  養生経に云、使口如鼻、終身勿事なと云る文を思はへ
+  養生経ニ云、使口如鼻、終身勿事ナト云ル文ヲ思ハヘ
-  て、かやうにの給へるにや、又孝子伝には、多言害身多
+  テ、カヤウニノ給ヘルニヤ、又孝子伝ニハ、多言害身多
-  事害神とも見たれは、よくよくつつしみ誡むへし、又人の寄
+  事害神トモ見タレハ、ヨクヨクツツシミ誡ムヘシ、又人ノ寄
-  合てうちささやきなむとせむ所へは、始より交り居さら
+  合テウチササヤキナムトセム所ヘハ、始ヨリ交リ居サラ
-  む外は、よるへからす、おのつからあしく行合たりとも、さ
+  ム外ハ、ヨルヘカラス、オノツカラアシク行合タリトモ、サ
-  らぬやうにて立のくへし、此文の教也、／k141
+  ラヌヤウニテ立ノクヘシ、此文ノ教也、／k141

text/jikkinsho/s_jikkinsho04-01.1445924161.txt.gz · 最終更新: 2015/10/27 14:36 by Satoshi Nakagawa