text:jikkinsho:s_jikkinsho03-05
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text:jikkinsho:s_jikkinsho03-05 [2015/10/16 00:07] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:jikkinsho:s_jikkinsho03-05 [2015/10/16 00:08] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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- | ある所に、女房あまた居て、箏弾くに、琴柱(ことぢ)の走りて失せたるを、さるべき男もなければ、宿直人の見ゆるを呼びて、「かの前栽の中に、楓(かへで)の木、二股に、これほど、しかじか切りて来(こ)」と細かに教へてやりつ。 | + | ある所に、女房あまた居て、箏弾くに、琴柱(ことぢ)の走りて失せたるを、さるべき男もなければ、宿直人の見ゆるを呼びて、「かの前栽の中に、楓(かへで)の木、二股に、これほど、しかじか、切りて来(こ)」と細かに教へてやりつ。 |
「はかばかしきことあらじ」と言ふほどに、切りて持て来にけり。簾のもとによりて、「このかり琴柱((雁琴柱・仮琴柱))、参らせ候はん」と言ひ出でたるに、思はずにあさましくて、「細々と教へつる、いかにをこがましく思ひつらむ」と、恥ぢあへりけり。 | 「はかばかしきことあらじ」と言ふほどに、切りて持て来にけり。簾のもとによりて、「このかり琴柱((雁琴柱・仮琴柱))、参らせ候はん」と言ひ出でたるに、思はずにあさましくて、「細々と教へつる、いかにをこがましく思ひつらむ」と、恥ぢあへりけり。 |
text/jikkinsho/s_jikkinsho03-05.txt · 最終更新: 2015/10/16 00:08 by Satoshi Nakagawa