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--- text:jikkinsho:s_jikkinsho01-00 [2015/08/17 15:15] – 作成 Satoshi Nakagawa
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-十訓抄
+十訓抄 第一 人に恵を施すべき事
-====== 第一　序 ======
+====== 1の序　ある人いはく人の君となれるものは・・・ ======
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   十訓抄上
-  　　第一可施人恵事　第二可離驕慢事
+  　　第一可施人恵事　第二可離憍慢事
   　　第三不侮人倫事　第四可誡人上事
-  第一可施人恵事
+    第一可施人恵事
-  或人云人の君となれるものは、拙きものなりとも不可嫌文
+  或人云人ノ君トナレルモノハ、拙キモノナリトモ不可嫌文
-  云、山はちゐさき壌をゆつらす此故に高事をなす、海
+  云、山ハチヰサキ壌ヲユツラス此故ニ高事ヲナス、海
-  はほそき流をいとはす此故に深き事をなすと云り、又
+  ハホソキ流ヲイトハス此故ニ深キ事ヲナスト云リ、又
-  明王の人をすて給はぬ事、車を造る工みの、材をあまさ
+  明王ノ人ヲステ給ハヌ事、車ヲ造ル工ミノ、材ヲアマサ
-  さるにたとふ、まかれるをも、みしかきをも用る所也、又人の／k7
+  サルニタトフ、マカレルヲモ、ミシカキヲモ用ル所也、又人ノ／k7
-  食物をきらふ事あれは、其身必すやすとも云り、惣て
+  食物ヲキラフ事アレハ、其身必スヤストモ云リ、惣テ
-  大人は賤を嫌ましと見たり、凡糸惜けれはとて、謬て
+  大人ハ賤ヲ嫌マシト見タリ、凡糸惜ケレハトテ、謬テ
-  賞をもすこさす、にくけれはとて、猥しく刑をも不加して、普
+  賞ヲモスコサス、ニクケレハトテ、猥シク刑ヲモ不加シテ、普
-  く均きめくみを施すへしとなり、又人に一度の咎あれ
+  ク均キメクミヲ施スヘシトナリ、又人ニ一度ノ咎アレ
-  はとて、重き罪を行事、よく思慮あるへし、麒驥と云
+  ハトテ、重キ罪ヲ行事、ヨク思慮アルヘシ、麒驥ト云
-  賢きけた物はをのつから一躓のあやまりなきに非す、
+  賢キケタ物ハヲノツカラ一躓ノアヤマリナキニ非ス、
-  人とても争か其理をはなれむ、然者文にいへるかことく、
+  人トテモ争カ其理ヲハナレム、然者文ニイヘルカコトク、
-  少過をゆるして賢才をみへしとなり、其咎あまたたひ
+  少過ヲユルシテ賢才ヲミヘシトナリ、其咎アマタタヒ
-  に及はは、なたむるに力をよはさるへし、但君をはかりて要
+  ニ及ハハ、ナタムルニ力ヲヨハサルヘシ、但君ヲハカリテ要
-  をかまへ、かたへを嘲て其禄を望む族は、深く退へ／k8
+  ヲカマヘ、カタヘヲ嘲テ其禄ヲ望ム族ハ、深ク退ヘ／k8
-  し、其故は佞人朝にあれは、忠正の者すすますといふ、謲諛
+  シ、其故ハ佞人朝ニアレハ、忠正ノ者ススマストイフ、謲諛
-  の甚き孔墨のさきをもまぬかれかたしなと聞れは、不
+  ノ甚キ孔墨ノサキヲモマヌカレカタシナト聞レハ、不
-  忠の輩は更になさけの限にあらす、只不覚ならむもの
+  忠ノ輩ハ更ニナサケノ限ニアラス、只不覚ナラムモノ
-  のとかをゆるして、能なき輩をも愍みはくくむへしと
+  ノトカヲユルシテ、能ナキ輩ヲモ愍ミハククムヘシト
-  なり、／k8
+  ナリ、／k8