ほっしんじゅう
8巻102話(八巻本)、5巻62話(五巻本)からなる仏教説話集。『往生要集』の浄土思想にもとづき、題名どおりの発心説話の他、往生説話、隠遁説話が多い。
また、序文に次のような編纂方針が書かれており、インド・中国の説話を多く載せる他の仏教説話集と差別化が図られているが、少ないものの巻2第12話、13話のように必ずしもこの方針は貫かれていない。
今、此れを云ふに、天竺・震旦の伝へ聞くは、遠ければ書かず。仏・菩薩の因縁は、分にたへざれば是を残せり。唯、我が国の人の耳近きを先として、承る言の葉のみ記す。
『本朝書籍目録』仮名部に三巻本の存在が記録されているが現存していない。
現存する本文では、五巻本とされる神宮文庫本5巻5冊写本・素行文庫本5巻2冊、八巻本(流布本)の慶安四年片仮名版本・寛文十年平仮名版本がある。