text:shaseki:ko_shaseki01a-06
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text:shaseki:ko_shaseki01a-06 [2018/07/10 22:33] – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | text:shaseki:ko_shaseki01a-06 [2018/07/10 22:53] – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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沙石集 | 沙石集 | ||
- | ====== 巻1第6話(6) 和光利益甚深の事 ====== | + | ====== 巻1第6話(6) 和光の利益、甚深の事 ====== |
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とてもかくても、人身を浮けたる思出(おもひで)、仏法にあへるしるしには、一門の方便に取り付きて、出離を心ざすべし。心地観経には、「一仏一菩薩を憑むを要法とす」と説けり。されば、内には仏性常住の理(ことわり)を具せることを信じ、外には本地垂迹の慈悲方便を仰ぎて、出離生死の道を心中に深く思ひ染むべきをや。 | とてもかくても、人身を浮けたる思出(おもひで)、仏法にあへるしるしには、一門の方便に取り付きて、出離を心ざすべし。心地観経には、「一仏一菩薩を憑むを要法とす」と説けり。されば、内には仏性常住の理(ことわり)を具せることを信じ、外には本地垂迹の慈悲方便を仰ぎて、出離生死の道を心中に深く思ひ染むべきをや。 | ||
- | 三悪の火坑(くわきやう)、足の下にあり。六道の長夜、夢いまだ覚めず。爪上(さうじやう)の人身を憂け、優曇(うどん)の仏法にあひながら、なすことなく、勤むることなくして、三 | + | 三悪の火坑(くわきやう)、足の下にあり。六道の長夜、夢いまだ覚めず。爪上(さうじやう)の人身を憂け、優曇(うどん)の仏法にあひながら、なすことなく、勤むることなくして、三途の故郷(ふるさと)に帰りなば、千度悔い、百度悲しむとも、何の益かあるべき。多生にまれに浮び出でて、億劫に一度(ひとたび)あへり。心をゆるくして、空しく光陰を送ることなかれ。時、人を待たず。死、かねてわきまへず。ゆめゆめ勤め行ふべし。 |
- | 途の故郷(ふるさと)に帰りなば、千度悔い、百度悲しむとも、何の益かあるべき。多生にまれに浮び出でて、億劫に一度(ひとたび)あへり。心をゆるくして、空しく光陰を送ることなかれ。時、人を待たず。死、かねてわきまへず。ゆめゆめ勤め行ふべし。 | + | |
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text/shaseki/ko_shaseki01a-06.txt · 最終更新: 2018/08/03 12:20 by Satoshi Nakagawa