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text:sesuisho:n_sesuisho5-043n [2022/11/26 15:54] – 作成 Satoshi Nakagawatext:sesuisho:n_sesuisho5-043n [2023/04/01 12:54] (現在) – [翻刻] Satoshi Nakagawa
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 [[index.html|醒睡笑]] 巻5 上戸 [[index.html|醒睡笑]] 巻5 上戸
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 俗云はく、「一篇を学びて二道を兼ねざるは、片闇に同じ。如来蔵中に酒の徳極めて((「極」は底本、舟へんに主。諸本により訂正。))夥(おびたた)しくして勝(あ)げて計(かぞ)ふべからず。上は四王天に天漿有り。名づけて花酒と曰ふ。下には須弥山の北、巨海の底に阿修羅界有り。彼の阿修羅、四の天下の菓を採りて、四大海に醖(かも)しこれを飲みて猶ほ足らず。故に阿修羅を飜して無酒と曰ふ。去れば、尽くの乾坤一時に変じて、酔乾坤と作(な)る。すなはち沙門は手足を((「手足」は底本「午足」。諸本により訂正。))措(お)く処無し。李白の意は酒に在り。すなはち所見として酒にあらざるはなし。漢水は皆蒲萄の塁、麹糵(きくげつ)の高台は皆糟丘。白((白居易))の胸襟もまた大なるかな。また題邀月亭(月を邀(むか)ふる亭を題す)に曰く、『挙酒勧明月。聴我歌声発。(酒を挙て明月に勧む。我が歌声の発するを聴け)』と、馬子才も興じたれば、酒に一曲は対の物か。口に叫び肩に荷(にな)ひ、暁夜舟に棹さす。道路別なりといへども、酒を好むは一般なり」。 俗云はく、「一篇を学びて二道を兼ねざるは、片闇に同じ。如来蔵中に酒の徳極めて((「極」は底本、舟へんに主。諸本により訂正。))夥(おびたた)しくして勝(あ)げて計(かぞ)ふべからず。上は四王天に天漿有り。名づけて花酒と曰ふ。下には須弥山の北、巨海の底に阿修羅界有り。彼の阿修羅、四の天下の菓を採りて、四大海に醖(かも)しこれを飲みて猶ほ足らず。故に阿修羅を飜して無酒と曰ふ。去れば、尽くの乾坤一時に変じて、酔乾坤と作(な)る。すなはち沙門は手足を((「手足」は底本「午足」。諸本により訂正。))措(お)く処無し。李白の意は酒に在り。すなはち所見として酒にあらざるはなし。漢水は皆蒲萄の塁、麹糵(きくげつ)の高台は皆糟丘。白((白居易))の胸襟もまた大なるかな。また題邀月亭(月を邀(むか)ふる亭を題す)に曰く、『挙酒勧明月。聴我歌声発。(酒を挙て明月に勧む。我が歌声の発するを聴け)』と、馬子才も興じたれば、酒に一曲は対の物か。口に叫び肩に荷(にな)ひ、暁夜舟に棹さす。道路別なりといへども、酒を好むは一般なり」。
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 僧、莞爾として云はく、「金言耳に逆ふも、行に理有り。仏子は勝鬘((勝鬘経))も末法の中に持戒有らんに、市中の虎の如しと云々。梵網経に、若し自身手づから酒器を過(わた)して酒を飲ましむる者は、五百世手無しと。何ぞいはんや自ら飲まんはや。麁茶淡飯(そちやたんぱん)も飽けばすなはち休す。如何ぞ一旦の味に迷ひて舌根罪を作(な)さんや。樽前に酔を勧められて、闇に迷ふこと必せり」。 僧、莞爾として云はく、「金言耳に逆ふも、行に理有り。仏子は勝鬘((勝鬘経))も末法の中に持戒有らんに、市中の虎の如しと云々。梵網経に、若し自身手づから酒器を過(わた)して酒を飲ましむる者は、五百世手無しと。何ぞいはんや自ら飲まんはや。麁茶淡飯(そちやたんぱん)も飽けばすなはち休す。如何ぞ一旦の味に迷ひて舌根罪を作(な)さんや。樽前に酔を勧められて、闇に迷ふこと必せり」。
  
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   若懐テ石入ルニ渕ニ俗云学一篇不兼二道同片闇如来蔵   若懐テ石入ルニ渕ニ俗云学一篇不兼二道同片闇如来蔵
-  中酒之徳〓夥而不可勝計四王天有天漿名曰花 +  中酒之徳〓夥而不可勝計四王天有天漿名曰花 
-  酒下には須弥山北巨海底有阿修羅界彼阿修羅採四 +  酒下ニハ須弥山北巨海底有阿修羅界彼阿修羅採四 
-  天下四大海飲之猶不足故飜阿修羅曰無酒れは +  天下四大海飲之猶不足故飜阿修羅曰無酒レハ 
-  尽乾坤一時変作酔乾坤則沙門無処措午足 +  尽乾坤一時変作酔乾坤則沙門無処措午足 
-  李白意在酒則所見無非酒漢水皆蒲萄塁(りゆは)麹蘖(けつ+  李白意在酒則所見無非酒漢水皆蒲萄塁(リユハ)麹蘖(ケツ
-  高臺皆糟丘白之胸襟亦大るかな矣又題してふる曰挙/n5-64r+  高臺皆糟丘白之胸襟亦大ルカナ矣又題シテフル曰挙/n5-34r
  
-  酒明月けと我歌声るを馬子才したれは一曲物 +  酒明月ケト我歌声ルヲ馬子才シタレハ一曲物 
-  乎叫口荷肩暁夜棹舟道路雖別りと好酒一般也 +  乎叫口荷肩暁夜棹舟道路雖別リト好酒一般也 
-  僧莞爾して云金言逆耳行有理仏子勝鬘末法 +  僧莞爾シテ云金言逆耳行有理仏子勝鬘末法 
-  有らんに持戒如しと市中虎云々梵網経若自身手から過(わたして)酒器 +  有ランニ持戒如シト市中虎云々梵網経若自身手カラ過(ワタシテ)酒器 
-  飲しむる者五百世無手()何況自飲んはや麁茶淡飯飽即 +  飲シムル者五百世無手()何況自飲ンハヤ麁茶淡飯飽即 
-  休如何迷一旦味作舌根罪樽前被れて勧酔 +  休如何迷一旦味作舌根罪樽前被レテ勧酔 
-  必矣俗云諸悪莫作衆善奉行七仏通戒也其禁めに可有/n5-64l+  必矣俗云諸悪莫作衆善奉行七仏通戒也其禁メニ可有/n5-34l
  
text/sesuisho/n_sesuisho5-043n.1669445699.txt.gz · 最終更新: 2022/11/26 15:54 by Satoshi Nakagawa