text:sesuisho:n_sesuisho3-107
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| text:sesuisho:n_sesuisho3-107 [2021/11/07 23:26] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:sesuisho:n_sesuisho3-107 [2021/11/07 23:27] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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| 天竺に一寺あり。住僧多し。達磨和尚、僧どもの行ひを見給ふに、念仏するあり。ある房に八・九十ばかりなる僧、ただ二人碁を打つほかは他事なし。達磨、件(くだん)の房を出で、ほかの僧に問ふ。答へていはく、「この二人、若きより囲碁のほかすることなし。よつて、寺僧いやしみ、外道(げだう)のごとく思へり」と言ふ。 | 天竺に一寺あり。住僧多し。達磨和尚、僧どもの行ひを見給ふに、念仏するあり。ある房に八・九十ばかりなる僧、ただ二人碁を打つほかは他事なし。達磨、件(くだん)の房を出で、ほかの僧に問ふ。答へていはく、「この二人、若きより囲碁のほかすることなし。よつて、寺僧いやしみ、外道(げだう)のごとく思へり」と言ふ。 | ||
| - | 和尚聞て、「さだめてやうあらん」と思ひ、かの老僧の傍らにて、碁打つ様を見れば、一人は立ち一人は居ると見るに、忽然(こつぜん)として失せぬ。怪しく思ふほどに、立てるは帰り居ると見れば、また居たる僧失せぬ。「さればこそ」と思ひ、「囲碁のほか他事なしと承る。そのゆゑを聞き奉らん」とのたまふに、答へていはく、「年来このことよりほかはなし。ただ黒勝つ時は、『わが煩悩勝ちぬ』と悲しみ、白勝つ時は『菩提勝ちぬ』と悦ぶ。打つにしたがひて、煩悩の黒を失ひ、たちまちに証果(しようくわ)の身となり侍るなり」と云々。 | + | 和尚聞て、「さだめてやうあらん」と思ひ、かの老僧の傍らにて、碁打つ様を見れば、一人は立ち一人は居ると見るに、忽然(こつぜん)として失せぬ。怪しく思ふほどに、立てるは帰り居ると見れば、また居たる僧失せぬ。 |
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| + | 「さればこそ」と思ひ、「囲碁のほか他事なしと承る。そのゆゑを聞き奉らん」とのたまふに、答へていはく、「年来このことよりほかはなし。ただ黒勝つ時は、『わが煩悩勝ちぬ』と悲しみ、白勝つ時は『菩提勝ちぬ』と悦ぶ。打つにしたがひて、煩悩の黒を失ひ、たちまちに証果(しようくわ)の身となり侍るなり」と云々。 | ||
| 山の端(は)にさそはば入らんわれもただ憂き世の空に秋の夜の月 | 山の端(は)にさそはば入らんわれもただ憂き世の空に秋の夜の月 | ||
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