text:sesuisho:n_sesuisho1-145
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text:sesuisho:n_sesuisho1-145 [2021/06/06 12:24] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:sesuisho:n_sesuisho1-145 [2021/06/06 12:28] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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- | 和泉国に大鳥といふ在所あり。その庄屋が惣領(そうりやう)の子、六歳なり。小弓に小矢をととのへ持たせけるが、元日の朝、矢を一つ射放し、俵に射付けて、「ととよ、ととよ、俵をゆうた」と。親、大きに喜び、「さてさて、めでたや。今年は尺の穂丈(ほたけ)も長く実りて、納むる俵の数々を結(い)はんことよ」と祝ひぬ。 | + | 和泉国に大鳥といふ在所あり。その庄屋が惣領(そうりやう)の子、六歳なり。小弓に小矢をととのへ持たせけるが、元日の朝、矢を一つ射放し、俵に射付けて、「ととよ、ととよ、俵をゆうた」と。親、大きに喜び、「さてさて、めでたや。今年は尺の穂丈(ほたけ)も長く実りて、納むる俵の数々を結(ゆ)はんことよ」と祝ひぬ。 |
もはやこれにておきもせで、「今一度、矢を射て見せよ」と望み侍り。息子讃められ、心よげにまた射たりしが、今度は門の戸に当れり。「ととよ、あれ見よ。戸をゆふたは」とぞ教へける。 | もはやこれにておきもせで、「今一度、矢を射て見せよ」と望み侍り。息子讃められ、心よげにまた射たりしが、今度は門の戸に当れり。「ととよ、あれ見よ。戸をゆふたは」とぞ教へける。 |
text/sesuisho/n_sesuisho1-145.1622949848.txt.gz · 最終更新: 2021/06/06 12:24 by Satoshi Nakagawa