text:kohon:kohon006
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| text:kohon:kohon006 [2016/01/20 15:29] – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | text:kohon:kohon006 [2025/12/01 12:15] (現在) – Satoshi Nakagawa | ||
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| 今は昔、和泉式部がもとに、帥宮(そちのみや)((敦道親王))通はせ給ひけるころ、久しく音せさせ給はざりけるに、その宮に候ふ童(わらは)の来たりけるに、御文もなし。帰り参るに、 | 今は昔、和泉式部がもとに、帥宮(そちのみや)((敦道親王))通はせ給ひけるころ、久しく音せさせ給はざりけるに、その宮に候ふ童(わらは)の来たりけるに、御文もなし。帰り参るに、 | ||
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| 持て参りて、参らせたりければ、「まことに久しくなりにけり」と心苦しくて、やがておはしましけり。 | 持て参りて、参らせたりければ、「まことに久しくなりにけり」と心苦しくて、やがておはしましけり。 | ||
| - | 女も月をながめて、端にゐたりけり。前栽の露きらきらと置きたるに、「人は草葉の露なれや」と、のたまはするさま、優にめでたし。御扇に御文を入れて、「御使の取らで参りにければ」とて、給はす。扇を指し出だして取りつ。「今宵は帰りなん。明日物忌みといふなりつれば、長らむもあやしかるべければ」とのたまはすれば、 | + | 女も月をながめて、端にゐたりけり。前栽の露きらきらと置きたるに、「人は草葉の露なれや」と、のたまはするさま、優にめでたし。御扇に御文を入れて、「御使の取らで参りにければ」とて、給はす。扇を指し出だして取りつ。「今宵は帰りなん。明日物忌みといふなりつれば、なからむもあやしかるべければ」とのたまはすれば、 |
| 心みに雨も降らなん宿過ぎて空行く月の影や止まると | 心みに雨も降らなん宿過ぎて空行く月の影や止まると | ||
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| 始めつ方は、かやうに心ざしもなき様に見えたれど、後には上を去りたてまつらせ給ひて、ひたぶるにこの式部を妻(め)にせさせ給ひたりと見えたり。 | 始めつ方は、かやうに心ざしもなき様に見えたれど、後には上を去りたてまつらせ給ひて、ひたぶるにこの式部を妻(め)にせさせ給ひたりと見えたり。 | ||
| - | 保昌((藤原保昌))に具して、丹後へ下りたるに、「明日狩りせむ」とて、者ども集ひたる夜さり、鹿のいたく鳴きゐたれば、「いで、あはれや。明日死なむずれば、いたく鳴くにこそ」と、心憂がりければ、「さおぼさば、狩とどめむ。よからむ歌を詠み給へ」と言はれて | + | 保昌((藤原保昌))に具して、丹後へ下りたるに、「明日狩りせむ」とて、者ども集ひたる夜さり、鹿のいたく鳴きたれば、「いで、あはれや。明日死なむずれば、いたく鳴くにこそ」と、心憂がりければ、「さおぼさば、狩とどめむ。よからむ歌を詠み給へ」と言はれて |
| ことはりやいかでか鹿の鳴かざらん今宵ばかりの命と思へば | ことはりやいかでか鹿の鳴かざらん今宵ばかりの命と思へば | ||
| 行 43: | 行 45: | ||
| この歌、貴船の明神の御返しなり。男声にて耳に聞こえけるとかや。 | この歌、貴船の明神の御返しなり。男声にて耳に聞こえけるとかや。 | ||
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| ===== 翻刻 ===== | ===== 翻刻 ===== | ||
| 行 81: | 行 85: | ||
| をめにせさせ給たりとみえたりやすまさに | をめにせさせ給たりとみえたりやすまさに | ||
| くして丹後へくたりたるにあすかりせむとて | くして丹後へくたりたるにあすかりせむとて | ||
| - | ものともつとひたる夜さりしかのいたくなきゐ | + | ものともつとひたる夜さりしかのいたくなき |
| たれはいてあはれやあすしなむすれはいたくな/b40 e20 | たれはいてあはれやあすしなむすれはいたくな/b40 e20 | ||
text/kohon/kohon006.1453271357.txt.gz · 最終更新: by Satoshi Nakagawa
