text:karakagami:m_karakagami1-01
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text:karakagami:m_karakagami1-01 [2022/10/01 21:34] – Satoshi Nakagawa | text:karakagami:m_karakagami1-01 [2022/10/01 21:36] – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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- | 伏羲氏と申し侍りし帝皇は木徳なり。御母は華胥(くわしよ)と申しき。雷沢といふ所にて太人の跡を履みて帝を生み奉れり。姓は風なり。蛇の身にて人の首ましましき。木徳にて、百王の先たり。位東方にありて、春日の明をつかさどり給ふゆゑに、太皞(タイカウ)((底本表記「太昊」。))と申しき。竜図(りやうとう)を受けて、景龍の瑞ありき。竜をもて紀(しる)して、宮の号を竜師といひき。 | + | 伏羲氏と申し侍りし帝皇は木徳なり。御母は華胥(くわしよ)と申しき。雷沢といふ所にて太人の跡を履みて帝を生み奉れり。姓は風なり。蛇の身にて人の首ましましき。木徳にて、百王の先たり。位東方にありて、春日の明をつかさどり給ふゆゑに、太皞(たいかう)((底本表記「太昊」。))と申しき。竜図(りやうとう)を受けて、景龍の瑞ありき。竜をもて紀(しる)して、宮の号を竜師といひき。 |
- | 琴といふ楽器は四十五絃にて、長さ八尺一寸、この帝の作り給へるなり。嫁娶の礼もこの御時ぞ始まれり。始めて八卦を作り給ひて、縄を結びて綱罟(こうこ)として漁猟((底本「スナトリカリ・リヤウシノ心」と傍書。))をもしたひき。犠牲をとりて庖厨(はうちゆう)にほたれしゆゑに庖犠氏とも申しき。伏羲氏の天下に王たる始めて八卦を書き、書契(しよけい)を造りて、縄を結びし政に代へたり。これによて、文籍生((底本、「文籍」に「フンセキ・モンシヤク」、「生」に「ナル」と読み仮名。))といへり。御在位一百一十年、山陽といふ所に送り奉りき。 | + | 琴といふ楽器は四十五絃にて、長さ八尺一寸、この帝の作り給へるなり。嫁娶の礼もこの御時ぞ始まれり。始めて八卦を作り給ひて、縄を結びて綱罟(こうこ)として漁猟((底本「スナトリカリ・リヤウシノ心」と傍書。))をもしたひき。犠牲をとりて庖厨(はうちゆう)にほだれしゆゑに庖犠氏とも申しき。伏羲氏の天下に王たる始めて八卦を書き、書契(しよけい)を造りて、縄を結びし政に代へたり。これによて、文籍生((底本、「文籍」に「フンセキ・モンシヤク」、「生」に「ナル」と読み仮名。))といへり。御在位一百一十年、山陽といふ所に送り奉りき。 |
この帝は応声大士(おうしやうたいし)の権化にて、五濁(ごぢよく)を斎(すく)はんために五常をのたまへ給へりとも申せり。五常とは仁義礼智信なり。愍傷(びんしやう)して殺さざると仁と曰ふ。害を防いで婬せざるを義と曰ふ。心を持ちて酒を禁ずると礼と曰ふ。清察(せいさつして盗せざるを智と曰ふ。法にあらざれば言はざると信と曰ふ。この五徳は、王者国を治め、君子身を立つる道なり。暫(しばし)も虧(か)き、暫も廃(す)つることなかるべきゆゑに、五常とは申すなり。 | この帝は応声大士(おうしやうたいし)の権化にて、五濁(ごぢよく)を斎(すく)はんために五常をのたまへ給へりとも申せり。五常とは仁義礼智信なり。愍傷(びんしやう)して殺さざると仁と曰ふ。害を防いで婬せざるを義と曰ふ。心を持ちて酒を禁ずると礼と曰ふ。清察(せいさつして盗せざるを智と曰ふ。法にあらざれば言はざると信と曰ふ。この五徳は、王者国を治め、君子身を立つる道なり。暫(しばし)も虧(か)き、暫も廃(す)つることなかるべきゆゑに、五常とは申すなり。 |
text/karakagami/m_karakagami1-01.txt · 最終更新: 2022/10/04 22:56 by Satoshi Nakagawa