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text:kara:m_kara006 [2014/11/07 19:28] – 作成 Satoshi Nakagawatext:kara:m_kara006 [2025/11/17 12:16] (現在) Satoshi Nakagawa
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 ===== 校訂本文 ===== ===== 校訂本文 =====
  
-昔、石季倫といふ人ありけり。よろづの宝に飽きて、世の貧しきを知らざりけり。金谷の園(その)のうちに、五百の舞姫(まひひめ)を集めて、喜び楽しむこと、夜昼を分かず。+[[m_kara005|<<PREV]] [[index.html|『唐物語』TOP]] [[m_kara007|NEXT>>]] 
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 +昔、石季倫((石崇))といふ人ありけり。よろづの宝に飽きて、世の貧しきを知らざりけり。金谷の園(その)のうちに、五百の舞姫(まひひめ)を集めて、喜び楽しむこと、夜昼を分かず。
  
 このうちに緑珠と聞こゆる舞姫なん、あまたの中にも優れたりければ、身に代(か)ふばかり浅からず((底本、「ら」に「か歟」と傍書。諸本「あさからす」))思へりけり。 このうちに緑珠と聞こゆる舞姫なん、あまたの中にも優れたりければ、身に代(か)ふばかり浅からず((底本、「ら」に「か歟」と傍書。諸本「あさからす」))思へりけり。
  
-かくて月日を送るに、時の政(まつりごと)を執れる人孫秀、この緑珠がたぐひなきありさまを聞く度(たび)に、人伝(ひとづて)ならざらんことを懇(ねんご)ろに思へりければ、堪へかねて色に出でぬ。石季倫、身をはかなきになすとも、心弱はからじと思へるを、この人、負けじ心のいちはやさに、兵(つはもの)を集め、勢ひをきはめて、心ざしをやぶる。+かくて月日を送るに、時の政(まつりごと)を執れる人孫秀、この緑珠がたぐひなきありさまを聞く度(たび)に、人伝(ひとづて)ならざらんことを懇(ねんご)ろに思へりければ、堪へかねて色に出でぬ。石季倫、身をはかなきになすとも、心弱はからじと思へるを、この人、負けじ心のいちはやさに、兵(つはもの)を集め、勢ひをきはめて、心ざしをやぶる。
  
 この時、緑珠((底本「緑季」。諸本により訂正))ははるかに高き楼の上に居たりけり。石季倫、かの人の手に従ひて行く行く、目を見合はせて、「誰ゆゑにかは、かくなりぬ」と言ひけるに、堪へ忍ぶへき心地せざりけりければ、楼の上より身を投げて死なんとするを、「身に勝(まさ)る物やはある」と諫(いさ)むる人、あまたありけれど、つひに聞かず。 この時、緑珠((底本「緑季」。諸本により訂正))ははるかに高き楼の上に居たりけり。石季倫、かの人の手に従ひて行く行く、目を見合はせて、「誰ゆゑにかは、かくなりぬ」と言ひけるに、堪へ忍ぶへき心地せざりけりければ、楼の上より身を投げて死なんとするを、「身に勝(まさ)る物やはある」と諫(いさ)むる人、あまたありけれど、つひに聞かず。
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 いとかく思ひとりけむ、心のありがたさも言ひ尽すべからず。 いとかく思ひとりけむ、心のありがたさも言ひ尽すべからず。
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 +[[m_kara005|<<PREV]] [[index.html|『唐物語』TOP]] [[m_kara007|NEXT>>]]
  
 ===== 翻刻 ===== ===== 翻刻 =====
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   昔石季倫と云人ありけりよろつのたからに   昔石季倫と云人ありけりよろつのたからに
   あきて世のまつしきをしらさりけり金   あきて世のまつしきをしらさりけり金
-  谷のそののうちに五百のまひひめをあつめて/m317+  谷のそののうちに五百のまひひめをあつめて/m317・k10l 
 + 
 +https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100182415/10?ln=ja
  
   よろこひたのしむ事よるひるをわかす   よろこひたのしむ事よるひるをわかす
行 32: 行 38:
   れはたえかねて色にいてぬ石季倫身をはか   れはたえかねて色にいてぬ石季倫身をはか
   なきになすとも心よはからしとおもへる   なきになすとも心よはからしとおもへる
-  をこの人まけし心のいちはやさにつは物をあつめ/m318+  をこの人まけし心のいちはやさにつは物をあつめ/m318・k11r
  
   いきおひをきはめて心さしをやふるこの時緑季   いきおひをきはめて心さしをやふるこの時緑季
行 43: 行 49:
     をくれゐてなけかんよりはときのまに     をくれゐてなけかんよりはときのまに
     しなんいのちのおしからなくに     しなんいのちのおしからなくに
-  いとかく思とりけむ心の有かたさもいひつくすへからす/m319+  いとかく思とりけむ心の有かたさもいひつくすへからす/m319・k11l 
 + 
 +https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100182415/11?ln=ja
  
text/kara/m_kara006.1415356103.txt.gz · 最終更新: by Satoshi Nakagawa