text:k_konjaku:k_konjaku27-28
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text:k_konjaku:k_konjaku27-28 [2015/01/25 15:29] – [巻27第28話 於京極殿有詠古歌音語 第廿七] Satoshi Nakagawa | text:k_konjaku:k_konjaku27-28 [2015/01/25 15:34] (現在) – [巻27第28話 於京極殿有詠古歌音語 第廿七] Satoshi Nakagawa | ||
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- | ====== 巻27第28話 於京極殿有詠古歌音語 第廿七 ====== | + | ====== 巻27第28話 於京極殿有詠古歌音語 第廿八 ====== |
今昔、上東門院の京極殿に住ませ給ける時、三月の廿日余の比、花の盛にて、南面の桜艶(えもいは)ず栄(さき)乱れたりけるに、院、寝殿にて聞かせ給ければ、南面の日隠しの間の程に、極じく気高く神さびたる音を以て、「こぼれてにほふ花ざくらかな」と長めければ、其の音を、院、聞かせ給ひて、「此は何なる人の有ぞ」と思し食て、御障子の上げられたりければ、御簾の内より御覧じけるに、何にも人の気色も無かりければ、「此は何かに。誰が云つる事ぞ」とて、数(あまた)の人を召て見せさせ給けるに、「近くも遠くも人候はず」と申ければ、其の時に驚かせ給て、「此は何かに。鬼神などの云ける事か」と恐ぢ怖れさせ給て、関白殿は□□殿に御ましけるに、怱て、「此る事こそ候ひつれ」と申させ給ひたりければ、殿の御返事に、「其れは其の□にて、常に然様に長め候ふ也」とぞ、御返事有ける。 | 今昔、上東門院の京極殿に住ませ給ける時、三月の廿日余の比、花の盛にて、南面の桜艶(えもいは)ず栄(さき)乱れたりけるに、院、寝殿にて聞かせ給ければ、南面の日隠しの間の程に、極じく気高く神さびたる音を以て、「こぼれてにほふ花ざくらかな」と長めければ、其の音を、院、聞かせ給ひて、「此は何なる人の有ぞ」と思し食て、御障子の上げられたりければ、御簾の内より御覧じけるに、何にも人の気色も無かりければ、「此は何かに。誰が云つる事ぞ」とて、数(あまた)の人を召て見せさせ給けるに、「近くも遠くも人候はず」と申ければ、其の時に驚かせ給て、「此は何かに。鬼神などの云ける事か」と恐ぢ怖れさせ給て、関白殿は□□殿に御ましけるに、怱て、「此る事こそ候ひつれ」と申させ給ひたりければ、殿の御返事に、「其れは其の□にて、常に然様に長め候ふ也」とぞ、御返事有ける。 |
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