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text:k_konjaku:k_konjaku25-13 [2014/11/14 02:41] – 作成 Satoshi Nakagawatext:k_konjaku:k_konjaku25-13 [2017/05/04 22:52] (現在) – [巻25第13話 源頼義朝臣罸安陪貞任等語 第十三] Satoshi Nakagawa
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 経清、此れを見て、恐ぢ畏て、親しき者に密に語て云く、「我れ亦何に死なむと為らむ」と。答て云く、「君、極く守似仕ふとも、必ず讒言有らむ。疑ひ無く殺されなむ。只早く逃て、安大夫に随へ」と。経清、此れを信じて、「去(い)なむ」と思て、謀の言を以て軍等に云く、「頼時が軍、間道より出て、国府を責て、守の北の方を取らむとす」と。此れを聞て、守の軍等発り騒ぐ。而るに経清、軍の乱れ騒ぐ隙に、私の兵八百余人を具して頼時に随ぬ。 経清、此れを見て、恐ぢ畏て、親しき者に密に語て云く、「我れ亦何に死なむと為らむ」と。答て云く、「君、極く守似仕ふとも、必ず讒言有らむ。疑ひ無く殺されなむ。只早く逃て、安大夫に随へ」と。経清、此れを信じて、「去(い)なむ」と思て、謀の言を以て軍等に云く、「頼時が軍、間道より出て、国府を責て、守の北の方を取らむとす」と。此れを聞て、守の軍等発り騒ぐ。而るに経清、軍の乱れ騒ぐ隙に、私の兵八百余人を具して頼時に随ぬ。
  
-而る間、頼義一任畢ぬれば、新司高階経重を補せらると云へども、合戦の由を聞て、辞退して下らず。此れに依て、重て頼義を補せらる。此れ頼時を討たしむが為也。然ば、頼義、国解を以て申す。「金の為時、并びに下野守興重を以て、奥の地の酋を語て、御方の軍に寄せて、頼時を討つべし」と。即ち公、其の由の宣旨を下されたれば、銫屋(かなや)・仁土呂志・宇曽利の三郡の酋、安陪富忠を首として、多の兵を以て頼時を責る間、頼時、力を発て防ぎ戦ふ事二日、頼時、遂に流矢に当て、鳥の海の楯にして死ぬ。+而る間、頼義一任畢ぬれば、新司高階経重を補せらると云へども、合戦の由を聞て、辞退して下らず。此れに依て、重て頼義を補せらる。此れ頼時を討たしむが為也。然ば、頼義、国解を以て申す。「金の為時、并びに下野守興重を以て、奥の地の酋を語て、御方の軍に寄せて、頼時を討つべし」と。即ち公、其の由の宣旨を下されたれば、銫屋(かなや)・仁土呂志・宇曽利の三郡の酋、安陪富忠を首として、多の兵を以て頼時を責る間、頼時、力を発て防ぎ戦ふ事二日、頼時、遂に流矢に当て、鳥の海の楯にして死ぬ。
  
 其の後、守、三千百余人の軍を具して、貞任等を討むとす。貞任等四千余人の兵を具して防ぎ戦ふに、守の軍、破れて死ぬる者多し。守の男、義家、猛き事人に勝れ、射る箭空しからず、敵の射る箭□無し。夷靡き走て、敢て向ふ者無し。此れを八幡太郎と云ふ。 其の後、守、三千百余人の軍を具して、貞任等を討むとす。貞任等四千余人の兵を具して防ぎ戦ふに、守の軍、破れて死ぬる者多し。守の男、義家、猛き事人に勝れ、射る箭空しからず、敵の射る箭□無し。夷靡き走て、敢て向ふ者無し。此れを八幡太郎と云ふ。
text/k_konjaku/k_konjaku25-13.1415900460.txt.gz · 最終更新: 2014/11/14 02:41 by Satoshi Nakagawa