text:k_konjaku:k_konjaku24-30
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text:k_konjaku:k_konjaku24-30 [2014/09/14 02:00] – Satoshi Nakagawa | text:k_konjaku:k_konjaku24-30 [2019/12/22 12:56] (現在) – [巻24第30話 藤原為時作詩任越前守語 第三十] Satoshi Nakagawa | ||
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====== 巻24第30話 藤原為時作詩任越前守語 第三十 ====== | ====== 巻24第30話 藤原為時作詩任越前守語 第三十 ====== | ||
- | 今昔、藤原為時と云ふ人有き。一条院の御時に、式部丞の労に依て「受領に成らむ」と申けるに、除目の時、闕国無きに依りて、成されざりけり。 | + | 今昔、藤原為時と云ふ人有き。一条院((一条天皇))の御時に、式部丞の労に依て「受領に成らむ」と申けるに、除目の時、闕国無きに依りて、成されざりけり。 |
其の後、此の事を歎きて、年を隔て直物(なほしもの)行はれける日、為時、博士には非(あらね)ども、極て文花有る者にて、申文を内侍に付て奉り上てけり。其の申文に此の句有り。 | 其の後、此の事を歎きて、年を隔て直物(なほしもの)行はれける日、為時、博士には非(あらね)ども、極て文花有る者にて、申文を内侍に付て奉り上てけり。其の申文に此の句有り。 | ||
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と。内侍、此れを奉り上げむと為るに、天皇の其の時に御寝なりて、御覧ぜず成にけり。 | と。内侍、此れを奉り上げむと為るに、天皇の其の時に御寝なりて、御覧ぜず成にけり。 | ||
- | 而る間、御堂関白にて御座ければ、「直し物行はせ給はむ」とて内に参らせ給たりけるに、此の為時が事を奏せさせ給けるに、天皇、申文を御覧ぜざるに依て、其の返答無かりけり。然れば、関白殿、女房に問はしめ給けるに、女房申す様、「為時が申文を御覧ぜしむとせし時、御前御寝なりて、御覧ぜず成にき」。 | + | 而る間、御堂((藤原道長))、関白にて御座ければ、「直し物行はせ給はむ」とて内に参らせ給たりけるに、此の為時が事を奏せさせ給けるに、天皇、申文を御覧ぜざるに依て、其の返答無かりけり。然れば、関白殿、女房に問はしめ給けるに、女房申す様、「為時が申文を御覧ぜしむとせし時、御前御寝なりて、御覧ぜず成にき」。 |
- | 然れば、其の申文を尋ね出て、関白殿、天皇に御覧ぜしめ給けるに、此の句有り。然れば、関白殿、此の句微妙に感ぜさせ給て、殿の御乳母子にて有ける、藤原国盛と云ふ人の成るべかりける、越前守を止て、俄に此の為時をなむ成されにける。 | + | 然れば、其の申文を尋ね出て、関白殿、天皇に御覧ぜしめ給けるに、此の句有り。然れば、関白殿、此の句微妙に感ぜさせ給て、殿の御乳母子にて有ける、藤原国盛((源国盛が正しい。))と云ふ人の成るべかりける、越前守を止て、俄に此の為時をなむ成されにける。 |
此れ偏に申文の句を感ぜらる故也となむ、世に為時を讃めけるとなむ語り伝へたるとや。 | 此れ偏に申文の句を感ぜらる故也となむ、世に為時を讃めけるとなむ語り伝へたるとや。 | ||
text/k_konjaku/k_konjaku24-30.1410627623.txt.gz · 最終更新: 2014/09/14 02:00 by Satoshi Nakagawa