text:jikkinsho:s_jikkinsho06-19
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text:jikkinsho:s_jikkinsho06-19 [2016/01/09 23:16] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:jikkinsho:s_jikkinsho06-19 [2020/04/17 11:41] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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- | 白河院の御時、天下に殺生を禁制せられたりければ、国土に魚・鳥のたぐひ絶えにけり。そのころ、貧しき僧の老いたる母を持ちたるあり。その母、魚なければ、ものを食はざりけり。たまたま求め得たる食ひ物も食はずして、やや日数を経るままに、老いの力、いよいよ弱りて、今はたのむかたなく見えけり。 | + | 白河院((白河上皇))の御時、天下に殺生を禁制せられたりければ、国土に魚・鳥のたぐひ絶えにけり。そのころ、貧しき僧の老いたる母を持ちたるあり。その母、魚なければ、ものを食はざりけり。たまたま求め得たる食ひ物も食はずして、やや日数を経るままに、老いの力、いよいよ弱りて、今はたのむかたなく見えけり。 |
僧、かなしみて、尋ね求むとも得がたし。思ひあまりて、つやつや魚捕る術(すべ)も知らねども、みづから桂川((底本「葛河」))のほとりにのぞみて、衣にたまだすきして、魚をうかがひて、小き𫚄((魚へんに輩。ハヤ(鮠)。))を一つ二つ捕りて、持ちたりけり。 | 僧、かなしみて、尋ね求むとも得がたし。思ひあまりて、つやつや魚捕る術(すべ)も知らねども、みづから桂川((底本「葛河」))のほとりにのぞみて、衣にたまだすきして、魚をうかがひて、小き𫚄((魚へんに輩。ハヤ(鮠)。))を一つ二つ捕りて、持ちたりけり。 |
text/jikkinsho/s_jikkinsho06-19.1452348979.txt.gz · 最終更新: 2016/01/09 23:16 by Satoshi Nakagawa